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2位 「ポケモン30周年」で大人が阿鼻叫喚 レトロゲームバブルが招いた「子どもは完全スルー」のマネーゲーム

「なにそれ?」――。

 618日、ポケモンセンターオンラインで販売された“歴代ゲームパッケージグッズ”が、激しい争奪戦を巻き起こした。しかし、その熱狂の中心にいたのは子どもではなく、かつてポケモンに夢中になった大人たちだった。

 実際に購入に成功した40代会社員・Aさんは、その“戦い”をこう振り返る。

10時からの販売開始だったのですが、9時半以降にアクセスすると抽選に参加できて、10時になるとその順番でサイトに入れる仕組みでした。仕事中でしたが、こっそりアクセスして待っていました」

 結果は40分強待ち。SNSを見ると数分待ちの人もいれば1時間以上の人もいたという。

「悲喜こもごもでしたね。一番人気のピンズセットは“開店”から20分経たないうちに完売の案内が出ちゃいましたが、狙っていた歴代ソフトのパッケージキーホルダーを買うことができました」(前同)

 手に入れた喜びを誰かに共有したくなるのは当然だろう。だが、その“誰か”との間に、決定的な温度差があったという。

「その日の夜、小学生の息子にスマホで見せながら自慢したんですが、チラ見して“なにそれ”の一言(笑)。届いたら一人で愛でます」(前同)

 このやり取りこそ、今回の騒動の本質を象徴している。

 いまの子どもたちにとって、ポケモンとは最新ゲーム機やアニメの存在だ。初代『赤・緑』の紙箱パッケージは、当然“体験していない過去”。つまり今回の商品は、最初から子ども向けではなく、大人の記憶に向けて設計された、極めて純度の高いノスタルジー商品だった。

 そして、そのターゲティングは見事に的中する。SNS上では《懐かしすぎて無理》《これは絶対欲しい》《子どもの頃の記憶が蘇る》といった声があふれ、同時に《全然つながらない》《抽選きつすぎ》《また転売か》といった阿鼻叫喚も広がっていった。

 この熱狂は、単なる“懐かしさ”だけでは説明がつかない。背景にあると思われるのが、いま加速するレトロゲームバブルだ。

 某大手リサイクルショップ店員は「中古ゲーム市場では、海外コレクターや投資マネーの流入により価格が高騰し続けています。特に90年代のゲームボーイ時代の象徴的な存在である、初代ポケモンの“箱、説明書付き美品”となると、数万円はくだらないです」という。

 “遊ぶためのゲームソフト”だったはずのものが、今やコレクターズアイテムや投資対象へと変質し、“保有する資産”へと変わっている。今回のグッズはそんなレトロゲーム好きとポケモン好き、その双方が相乗りするようなカタチで大きな需要を生んだと言えそうだ。

 SNS上でも、《これは将来プレミアつく》《開封できない》《保存用でもう一個欲しい》といった声が目立つ。純粋なファングッズでありながら、その扱いはコレクターズアイテム、あるいは投資対象に近い。

 こうした状況に対し、《子ども向けじゃない》《転売前提の商品になってる》といった違和感も噴出している。

 先のリサイクルショップ店員は続ける。

「かつてポケモンは、ゲームボーイを持ち寄り、通信ケーブルでつながる“遊びの共有体験”でした。だけどその経験をした大人たちが、本来では子どものおもちゃであるはずのポケモンの在り方を、その文脈ごと大きく変換しています」

 子どもは興味を示さず、大人がノスタルジーと資産価値を求めて群がる。さらにそこに転売が介在し、価格がつり上がる混沌。気づけばポケモンは、“思い出を媒介にしたマネーゲーム”の一部へと組み込まれている。

 かつて子どもたちの遊びだったポケモンは、今や大人たちの記憶と資産価値が交差する場所へと姿を変えつつある。その変化を最も象徴しているのが、今回の“グッズ争奪戦”だったのかもしれない。