日本の自動車業界がもっとも華やかだった80~90年代。俺たちが “乗った・乗りたかったあの一台をプレイバック!

快適な乗り心地や上質感を備えながら走行安定性も欧州車並みに高めて大ヒット

■驚くほど静かで滑らかに吹き上がる上質なV8エンジン

 1970年代のオイルショックで、ガソリン価格が高騰すると、燃費性能の優れた日本車が北米を中心に売れ行きを伸ばした。日本車のブランドイメージは、“低燃費で価格が安く壊れない”だったので、高級車市場には参入しにくい。そこでトヨタは、1989年に北米で「レクサス」という新しい高級車のブランドを立ち上げた。

 このレクサスの代表的な存在が、1989年に発売されたレクサスLSであった。ただし当時の日本国内では、レクサスが開業していなかったから、トヨタセルシオの名称で販売された。注目されたのはV型8気筒4Lエンジンだ。最高出力が260馬力、最大トルクは36kg-mで、抜群の静かさと滑らかな吹き上がりに驚かされた。4輪独立式エアサスペンションも革新的だ。当時のエアサスペンションは、乗り心地は柔軟でも走行安定性に不満を感じたが、セルシオは不満なく仕上げた。

 内装も上質で、全車にウォールナットパネルが装着される。日本車が得意な乗り心地、静粛性、上質感などを追求しながら、欧州車並みの走行安定性も備えることが一番の魅力であった。

 全長は4995mm、全幅は1820mmだから、当時の日本車ではきわめて大きい。その一方でフロントマスクには、トヨタクラウンの面影も感じられた。

外観

 シートの生地は、ファブリックと、肌触りの暖かいウールファブリックをグレードに応じて使い分けた。オプションで本革も用意した。

シート

 初代セルシオは1989年から1994年に販売された。そのために中古車市場の流通台数は少ないが、革新的なクルマだったからファンは意外に多い。価格は200〜350万円だから法外に高くないが、交換部品の流通状況などには注意して選びたい。