■意図的なヒントの大盤振る舞い

 早くも考察が加熱しているのは、初回から匂わせと伏線を詰め込んだためだろう。あまりに多いので整理すると、「事件件数ゼロが1100日だが、1100日前に何かがあった?」「老人ホームの無料定期検診で町の住人の記憶を書き換えられている?」「冒頭のデータ転送シーンは正樹と津村?」「夫婦の写真で正樹の写真の指が長いのは、今の正樹とは別人?」などなど。

 こうなると、伊川夫婦のペットである文鳥・ピョートルすらも怪しく見えてくる。放送後に配信サービス・TVerでスピンオフドラマ『伊川家のはじまり』が配信されたのだが、これには、《死ぬ前は大人しかったのに、生き返ってからは、やたらとさえずるピョートル。ここにヒントがあるのでは?》などの考察が。

 また、正樹と刑務所から出所したばかりの謎の男・津村(野村)の関係にも含みがあるし、津村が正樹を発見したときに電話した刑事・香坂睦美(国仲涼子/47)も怪しい。さらに、シングルマザー・二宮由梨(森川葵/31)の亡き夫・祐介(玉森・二役)と正樹は瓜二つだしと、怪しさのバーゲンセール状態なのだ。

 夏ドラマの中では7月5日と、早いスタートとなった本作。この明らかな考察煽りは、強敵の堺雅人(52)主演の日曜劇場『VIVANT』(TBS系/午後9時~)の続編が26日に始まる前に、スタートダッシュを決めようということだろう。実際に考察は盛り上がっており、狙い通りというところか。

 TVerのお気に入り登録数は33.1万(7月7日午後3時現在)と、初回にしては十分な数字だ。次回は、正樹のことを放っておけない由梨が、一緒に正樹の存在を証明できる人物を探すことになるが、それも津村が監視しているらしい。予測不能なオリジナルサスペンス・ラブストーリーに期待したい。

(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。