■初回のテンションを維持できるか?

 本作は、純愛と常軌を逸した愛の狭間を描くラブサスペンスだが、陰キャ全開の松村のおかげで、見事なまでに異様で美しいキャラが出来上がった。脚本家・渡邉真子氏の長年のラブコールで実現しただけあって、当て書きと思えるほどの違和感のなさ。陰キャを自認する松村の“キモ美しさ”が存分に楽しめた。

 松村以外のキャストも盤石だ。岡崎はヒロインとしての強さに懸念があったが、芯の強さ、シゴデキ感は説得力があった。爽太の友人・友也を演じる塩野瑛久(31)も、イカれた松村と並び立ったときの、常識を感じさせる安心感が良いし、麻里子の義母・サユリを演じる水野美紀(52)の、溢れ出るようなヤバさは言うに及ばず。松村に負けない怪演を見せてほしい。

 気になるのは初回から死者が出るなど、かなり飛ばした展開だったこと。松村の異常な愛情と執着に、25年前の麻里子(岡崎)の誘拐未遂事件が絡んでくるのだろうが、初回のテンションを維持したまま、展開させられるだろうか? 松村の演技頼りとなるようでは、尻すぼみになりかねない。ここは事件を殺人事件を捜査する警視庁捜査一課刑事で、麻里子の見合い相手・佐倉(玉山鉄二/46)がカギになりそうだ。

 脚本の渡邉氏は、23年放送の赤楚衛二(32)主演『こっち向いてよ向井くん』、25年放送の志尊淳(31)と岸井ゆきの(34)W主演『恋は闇』(ともに同局系)を手がけている。どちらも序盤はよかったが、中盤以降、勢いが落ちた印象がある。松村のキャラ、演技は強烈だが、それに負けないスリリングな展開を期待したい。

(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。