■衝撃展開の質が高い『Tシャツが乾くまで』
第1話の樹生(中島)の「あなたの夫、僕の妻と不倫してましたよ」、第2話の長野県警からの電話、第3話の充(松山)からの電話、第4話の花火にかき消された樹生の「かわいそうな人同士ならいいんじゃないですか」という言葉からの、充のスマホにあった住所の赤い屋根の家への咲子(蒼井)の訪問と、衝撃展開がうますぎる。
しかも今回は、樹生がイマジナリーあずさとに、自分のものは捨てていいよと言われるシーンを見せ、咲子が喫茶店の電話で再び充と会話するシーンを見せ、さらに、咲子が気持ちの整理のために充のものを捨てる断捨離のタイミング。視聴者が咲子と樹生の新たな関係を予感したタイミングでの充の帰宅という……。用意周到というか、容赦ないというか、思わず声が出てしまうラストだった。
それも、ただ驚かせようという意図だけでなく、そこまでに登場人物のそれぞれの気持ちの変化を丁寧に描いているので、衝撃の大きさが半端ない。充が消えた理由などの考察する視聴者はいるが、それよりも登場人物それぞれへの声が多く、ドラマ自体にハマっているファンが多いのがよくわかる。
視聴率、配信ともに今期の絶対王者の日曜劇場『VIVANT』(TBS系/毎週よる9時~)も驚き展開の数は多いが、その質においては本作ほうがはるかに上だ。単純に比べられるものではないが、ドラマとしては明らかにこちらのほうが面白いし、次回が気になって見たくなる“引き”が強い。
本作の脚本を手掛ける生方美久氏の過去作品のパターンで考えると、樹生は『silent』でいうところの湊斗(鈴鹿央士/26)、『海のはじまり』(ともにフジテレビ系)の弥生(有村架純/33)で、報われないパターンだろうか。充の事情を知って樹生が身を引くことになりそうだが、はたして――?
全話平均世帯視聴率は現段階(第5話)で6.9%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)で、同枠で社会現象的なヒット作となった、24年1月期の『不適切にもほどがある(通称・ふてほど)』の7.4%に迫る勢い。金曜ドラマとしては、『Tシャツが乾くまで』は久々のヒットになりそうだ。
(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。