日本の自動車業界がもっとも華やかだった80~90年代。俺たちが “乗った・乗りたかったあの一台をプレイバック!

車内をベッドにアレンジできるコンパクトで背の高いボディは今日のニーズを先取り

■ステップワゴンのボディを切り詰めた柔軟なコンセプト

 1990年に初代トヨタエスティマ、1991年に初代日産セレナが発売され、ミニバンが好調に売れ始めた。ホンダは1994年に初代オデッセイ、1996年5月には初代ステップワゴンも発売して、ミニバンの売れ行きを急増させた。そして1996年11月にS-MXも投入した。全長が3950mm、全幅も1690mmに収まる2列シートのコンパクトカーだが、全高は1750mm(標準ボディ)と高く、外観はステップワゴンを短くしたように見える。空間効率はミニバン並みに優れていた。

 ボディは1×2(ワンツー)ドアと呼ばれ、左側に2枚の横開きドアを装着するが、右側は1枚だけだ。後席の右側にはドアが備わらず、内張りの部分にカップホルダー、トレイ、収納ボックスなどを配置した。また前後席ともにベンチタイプで柔らかく、前後を連結すると、車内をベッドのようにアレンジできる。寝心地は良いが、肝心のシートとして使うときは、腰の収まりが悪い。不満も感じたが、ホンダらしい遊び心を備えていた。今はトヨタルーミーが発売から約10年を経過しても好調に売られている。S-MXのコンセプトは今でも通用する。

 内を広く確保するため、インパネは直立したデザインだ。ATの切り替えレバーは、ステアリングホイールの奥側に装着されるコラム式になる。

インパネ

 全長は4mを下まわるが、ボンネットは短く抑えられ、天井も高いボディのため、室内空間は広い。4名で乗車して荷物も積みやすい。

広めの室内空間

 エンジンは直列4気筒2Lで、最高出力は130馬力、最大トルクは18.7kg-mであった。4速ATを採用して、パワフルではないが運転しやすい。

エンジン

 ボディは左右非対称で、後席のドアは左側だけに装着される。ボディを真後ろから見ると、台形のデザインだ。背は高いが、視覚的な安定感がある。

外観

 S-MXの販売期間は、1996年から2002年だ。販売を終了して24年を経過するため、中古車市場の流通台数は少ない。それでもスポーツカーのように、価格が高騰することはない。中古車は80万円から150万円くらいで販売されている。外観がユニークで今でも印象に残るクルマとしては購入しやすい。