「クーラーなんて邪道」はもう古い? 酷暑で変わる“夏キャンプ”
では、スポットクーラーを使うキャンプは、もはや“キャンプらしくない”のだろうか。
実はテントにクーラーという発想は、RECAMPだけのものではない。
愛知県のキャンプ場「リバーベース塩瀬」でも、今年7月からテント用スポットクーラーのレンタルを開始した。事前テストでは、34度だったテント内が約20分で24度まで低下。1泊2750円で貸し出している。
こうした設備が登場する背景には、夏キャンプならではの難しさがある。テントは住宅のような断熱性を持たず、日中に熱せられれば内部の温度も上昇する。扇風機やサーキュレーターは風を生み出せても、気温そのものを下げることはできない。暑さが厳しい夜には、「風を送る」だけでは追いつかない場面も出てくる。とりわけ気を遣うのが、子どもを連れたファミリーキャンプだ。
「昔なら扇風機と冷感マットで乗り切る感覚でした。でも最近は、子どもがいると“暑くてもキャンプなんだから我慢”とは思えません。夜だけでもクーラーが使えるなら、私は迷わず使います」(40代女性)
これまで夏キャンプの暑さを避けようとすれば、標高の高いキャンプ場を選ぶ、木陰の多いサイトを探すといった“場所選び”が定石だった。そこに今、「設備で冷やす」という新たな選択肢が加わり始めている。
考えてみれば、キャンプと家電の組み合わせ自体は、すでに珍しいものではない。電源サイトでは扇風機や電気毛布を使い、ポータブル電源があれば炊飯器や電気ケトルまで持ち込める。キャンプ道具の進化は、「不便を楽しむ」一辺倒だったアウトドアを少しずつ変えてきた。そこへ加わったのが、いよいよ“冷房”というわけだ。
自然の中で過ごす楽しさはそのままに、危険な暑さまで我慢する必要はない。スポットクーラーの登場は、酷暑が続く日本で「夏でもキャンプを楽しむための装備」そのものが変わり始めたことの表れなのかもしれない。