軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、台湾有事をはじめ、迫り来る極東の脅威と日本、アメリカ、台湾の戦力を徹底比較。独自の現地取材写真とともに解説した“リアルな戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。

■SLBMを宇宙空間で撃破する最新対空ミサイルを海自が配備

 北朝鮮では各種弾道ミサイル開発が進められており、その一つに潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)がある。2015年5月19日、海中より発射された画像とともに、打ち上げ成功を発表。当時、大きな話題となった。その際に北朝鮮が公表した写真には加工疑惑もあったが、防衛省はコレ級潜水艦から発射されたと分析している。

 北朝鮮は、このミサイルを「北極星1」、アメリカはKN-11と命名。翌年8月、7回目となる発射試験を行った際には、500kmも飛翔し、日本の近海に落下した。

北極星1(北朝鮮・価格不明)※写真/朝鮮中央通信

 その後、改造が加えられ、地上発射型の「北極星2」なども生み出していく。最新バージョンは2021年の軍事パレードで公開された「北極星5」だ。最大射程は不明だが、「北極星」シリーズの飛距離は1000〜2000kmと予測されている。厄介なのは、固体燃料を使用しているため、液体燃料のように直前に燃料注入をする必要がないので、発射の兆候が分かりづらい点だ。

 こうした弾道ミサイルなどに対処するため、海上自衛隊は、対空ミサイルSM-3を配備している。弾道ミサイルは、発射直後の上昇段階“ブーストフェーズ”、宇宙空間を飛翔する“ミッドコースフェーズ”、大気圏を突入し、地表に落下する“ターミナルフェーズ”の3段階を踏む。SM-3はイージス艦から発射し、宇宙で迎撃することができる。

M-3ブロックIIA(日本・1発約40億円)※写真/海上自衛隊

 最新バージョンは「SM-3ブロックIIA」。これを最新鋭イージス艦「まや」型へと搭載した。2022年11月、ハワイ沖で射撃訓練を実施し、大気圏外にて見事、目標を撃破することに成功している。

●SPEC比較 北極星1 vs M-3ブロックIIA

ミサイル 北極星1(北朝鮮) M-3ブロックIIA(日本)
全長 不明 6.55m
全幅(翼端) 1.57m
直径 不明
重量 不明 1,500kg
射程 1000~2000km(推定) 2500km
射高 約1500km

菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。