■闇バイトに悪用されうる「流出免許証画像」

 免許証画像の流出について、前出の三上氏は「最近の闇バイトの事情と絡んでくる」と言う。

「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)が闇バイトを雇って誰かに顔写真を提出させ、その情報を元に偽運転免許証を作る。流出させられた人はあくまでも被害者ですが、その人のデータで顔写真が全く違う偽造免許証が完成します。それを闇バイトに持たせ、店頭で詐欺に使う用の携帯電話の契約をさせるのです。オンラインでは、マイナンバーカードのICチップ情報を確認できるなど対策が進んでいますが、一部の店舗では悪用される可能性があります」(三上氏、以下同)

 また、住所・氏名、電話番号など、個人の詳細情報が漏れていることにより、名指しで個人を狙う「標的型の詐欺」にも注意が必要だという。

「自分の情報がすべて当たっているとなれば、本当にトラブルに巻き込まれたと思ってしまうもの。偽サイトに流してクレジットカード番号を獲得するケースや、偽警察詐欺が行われる可能性は格段に高くなるでしょう。

 たとえば“こちらは◯◯県警です。あなたは東京都●●区に住むXXXXさんですね。免許証番号はXXXXXXXXですね。あなたの銀行口座がマネーロンダリングに悪用されています。逮捕状が出ていますので、今すぐ出頭してください”なんてことを言う。

 相手はその人がどこに住んでいるか分かっていますから、敢えて遠い場所の県警を名乗るんです。当然、“今は行けません”となりますよね。すると、“特別にLINEのビデオ通話で事情聴取をしましょう”と言われるわけです。そしてそのビデオ通話では、“あなたの銀行口座が悪用されていますが、無罪を証明したいのなら第三者機関への預託をしてください”などと言い、お金を振り込ませるのです」

「名寄せ」のベースにされる恐れもある。「名寄せ」とは、これまでに数多く流出している大量のデータと、今回の免許証情報を「合体」させていくのだ。

「たとえば流出した自動車ディーラーの名簿があれば、その人がローンを何百万円使っているといったことが分かりますよね。運転免許証という信頼性の高いデータを用い、複数のデータを合わせて精度の高いデータを作ることができるのです。

 今回の件で、電話やメール・ショートメールの詐欺は増えると考えられます。偽警察詐欺を含めた詐欺電話が来ることもあるでしょうが、相手にしてはいけません。もし不安な場合は、必ず公式情報を確認し、それ以外からの電話・SMSは信用しないことです。

 パスワードの見直しも必要です。今回、パスワードについては『復元できない形式』で保管していたとのことですが、パスワードを使い回している人、特にタイムズと同じパスワードを使い回している人は絶対に変えましょう」

 長期的な被害という観点から、警戒しなくてはならない事案。タイムズモビリティは、流出した会員情報に運転免許証画像などの本人確認書類情報が含まれることの重大性をどう捉えているのか。また今後の再発防止対策と補償について話を聞いた。

 再発防止策や補償について、同社の広報担当者は「現時点で出せる情報はまだありません。調査が上がり次第、発表はしていきます」と回答。会員や対象者への連絡・案内は順次行っているという。とのこと。会員や対象者への連絡・案内を順次行っているところだという。

三上洋(みかみ・よう)
東京都世田谷区出身、1965年生まれ。都立戸山高校、東洋大学社会学部卒業。テレビ番組制作会社を経て、95年からフリーライター・ITジャーナリストとして活動。文教大学情報学部非常勤講師。専門ジャンルは、セキュリティ、ネット事件、スマートフォン、Ustreamなどのネット動画、携帯料金・クレジットカードポイント。