■フォロワー数や開設時期への着目も有効な手がかり

 また、アカウントの信頼性を推し量るうえで、フォロワー数や開設時期への着目も有効な手がかりとなります。本物の生産者のアカウントと比較してフォロワー数が数十人から数百人程度と極端に少ない場合や、作成されてから数日から数週間しか経っていないアカウントには注意が必要。特定の数日間に集中的に写真がアップロードされているのも、使い捨て目的で作られた詐欺用アカウントの特徴です。

 見落としてはならないのが、決済手続きの段階で個人名義の銀行振込が指定されていないかどうか。販売サイトの支払い選択でクレジットカードが使用できず、農園名や法人名とは無関係な個人名義、特に外国人名義などの口座への振り込みのみを求められた場合は警戒態勢をとるべきでしょう。

 実際、被害やトラブルの拡大に伴いネット上でも、

《安さに惹かれてDMで注文しそうになったけれど、よく見たら口座名義が個人名で思いとどまった》
《丹精込めて作った農家の顔写真までAIで捏造して利用するなんて酷すぎる》
《公式の直販サイトだと思って振り込んだら商品が届かず連絡も途絶えて悔しい》

 といった口コミや困惑の声が集まっています。

「これまで犯罪者は地域ブランドの知名度を悪用していましたが、最近は個別の農家が築いた発信力や信頼そのものを盗用する傾向に変化しています。特にSNSを通じた販売は当事者同士のやり取りになりやすいため、相手が提示する情報を鵜呑みにせず、一度立ち止まって客観的な確認をとる姿勢が欠かせません。相場からかけ離れた不自然な安値や、指定される決済方法の違和感に気づけるかどうかで、被害に遭うかどうかが大きく分かれます」(生活情報サイト編集者)

 大切な農作物を1年がかりで育てる生産者の努力を踏みにじり、消費者の支援善意を利用して金銭をむしり取る行為は許されるものではありません。「1箱1500円」という魅力的な数字の裏には、巧妙に仕組まれた罠が潜んでいます。正規ルートの検索、アカウントの観察、そして決済方法の確認というポイントを意識することが、悪質な偽被害から身を守り、本物の生産者を守ることにも繋がるのではないでしょうか。

戸田蒼(とだ・あおい)
トレンド現象ウォッチャー。大手出版社でエンタメ誌やwebメディアの編集長を経てフリー。雑誌&webライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。