オランダ最古の動物園といわれるアルティス動物園で、くちばしが折れてしまったオスのミナミジサイチョウに、3Dプリンターで作った人工のくちばしが取り付けられた。10月15日に“世界初”の取り組みとして同園が発表するや否や、海外メディアやネット掲示板でも話題を呼んでいる 。

「ミナミジサイチョウはアフリカ南部に暮らす大型のサイチョウで、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは、絶滅のおそれがある“危急種”に分類されています。同園のミナミジサイチョウはくちばしを折ってしまい、エサを拾ったり羽を整えたりといった行動が思うようにできなくなっていたそうです」(WEBメディア編集者)

 くちばしの取り付けは、同園とユトレヒト大学の獣医学部などによる共同プロジェクトだという。同大学によると、このオスをCTスキャンした上で、保管していた折れたくちばしの破片をもとに元の形を再現。樹脂製のくちばしを3Dプリンターで製作し、同大学動物病院での手術で、チタン製の部品とネジを使って取り付けた。

 ミナミジサイチョウは手術当日の午後、早くも人工くちばしを使い始め、翌朝には地面のネズミを自分で拾い上げたという。数日後には、毛づくろいならぬ“羽づくろい”も再開できるようになったそうだ。

「同園の獣医師によると、樹脂の部分が折れたときに備えて、予備のパーツも作るのだそうです。また、3Dプリンターでくちばしの上下両方を作製・置き換えた例は、文献を調べた限り見当たらないといい、世界初の試みといえそうです」(前同)

 このニュースは現地メディアでも注目されている。オランダ大手紙『AD』は公式Facebookで、人工くちばしを装着したミナミジサイチョウを「ロボ鳥(robobird)」と表現。《このロボ鳥は、もうくちばしのない生活を送らずに済む》と紹介した。また、アメリカのIT系ニュース共有サイト『Hacker News』 でも取り上げられ、

《これは本当に最高!!!》 
《これだけの専門家が集まって、くちばしを直したというのがすごくいい》 
《信じられないほどの仕事と努力》
《その“ビル”は誰が払ったの?》

 という書き込みが寄せられた。英語の“bill”には「くちばし」と「請求書」の二つの意味があるため、治療費に対してのジョークである。

 さらには、《鳥がどうしたらこんなけがをするのか、誰か知ってる?》 など、人間による飼育環境でどのように折ったのか疑問を抱く人もいた。

 このミナミジサイチョウがくちばしを折った経緯は明らかにされていないが、同大学によると、ジサイチョウの仲間はくちばしを地面に突き立てるようにしてエサを探すため、くちばしのけがはよく起こる問題でもあるという。

 同園は経過が順調なら、今回の手術について論文にまとめ、世界の獣医師に役立ててもらいたい考えだという。