ここ20年ほどの間に、めっきりと存在感が薄くなった印象のある「チューインガム」。スーパーやコンビニのお菓子コーナーでもガムの売り場スペースはどんどん減少し、“ガム離れ”という言葉もすっかり定着してしまった。

「日本チューインガム協会の統計によれば、チューインガムの生産量は2004年の4万6100トンのピークを境に減少傾向が続いています。2025年には1万8700トンと、20年あまりで約6割も減っているんです」(食品業界紙記者)

 その原因はどこにあるのか。

「噛み終わったあとにゴミを捨てる手間、そして街中からゴミ箱が激減したという背景も理由の一つですが、それに拍車をかけたのがコロナ禍です。外出の機会が減少したことやマスク生活によって、何気なくガムを口に入れる習慣が薄れたのも大きな要因です」(前同)

 口臭予防のエチケットとして定着していたガムだが、人と会うことの減少やマスクの定着で、その役割は激減。噛み終わった後のゴミ問題も、飛沫感染への懸念からネガティブなイメージが浸透していったのだという。

 そのため、ガムに代わってグミが重用されるようになり、2021年にはグミの市場規模がガムを逆転。さらに2023年には「キシリッシュ」などの人気商品を販売していた明治がガム事業から撤退することになった。

 そんな中、ガムの有用性を唱え続けているのが、ガムの販売で国内最大手のロッテだ。10月22日に同社が行った「ロッテ噛むことセミナー2026」では、継続的なガムの咀嚼で咳や喉の痛みの日数が約4割減少することや、花粉症の不快感が48.8%も軽減すること、ミントガムの咀嚼によって車酔いが軽減することなどが発表された。

 発表会に臨んだロッテ中央研究所噛むこと研究部チーフスペシャリストの菅野範氏は言う。

「これは20~60代のロッテの社員とその家族を対象とした研究結果で、ガムを1日3回以上、2か月間摂取したグループと、摂取しなかったグループに分けて68名ずつでサンプルをとった結果なんです」

 これらの症状だけでなく、疲労やストレス、自律神経の乱れなどを軽減するという、年末に向けての多忙な時期に持ってこいの効果も。

「噛むことによって唾液に含まれる抗体の濃度が上がり、免疫機能が向上するためです。これは、噛むことが単なる食品摂取の動作ではなく、私たちの健康に大きく貢献していることを示しています」(前同)

 特に中高年にとっては、噛むことで口腔機能を維持することにより、肥満や生活習慣病、フレイル、認知機能の低下を防ぐ効果もあるというから聞き捨てならない。

「咀嚼って一回一回脳に刺激が入るので、ここが弱くなると脳の刺激が弱くなってしまうので認知機能が低下するというところはあります。食べられなくなったり、口の機能が落ちて喋れなくなったりしてくると、外に出なくなり、社会性が低下してしまう。人と会わなくなってしまう。認知機能と栄養バランスの低下、そして社会性の低下というのが総合的に介護のリスクが上がるというふうに、今はいわれています」(同)