■緑の“アフロ”は水槽で自然に成長! 飼育員が明かすカニの意外な素顔
「このカニは『カイカムリ』という種類です。一般の方が普段目にする機会は少ないので、珍しいといえば珍しいのですが、水族館などでは比較的よく展示されているカニですね。成長段階によって生息する場所も変わりますが、基本的には人があまり立ち入らないような場所に生息しています。食用としても一般的ではありません」(大竹さん、以下同)
そう説明する大竹さんによると、今回話題になったカイカムリは、浜名湖の漁師が捕獲した個体で、同施設では約1年前から飼育しているという。ちなみに、ウォットでは生き物に固有の名前を付けない方針のため、このカニにも特別な名前はないそうだ。
そして、何より気になるのが、あの緑色のアフロヘアの正体だ。
「実は、水槽で飼育しているうちに、自然と苔が付着していったんです。あまりにも生えすぎた場合には取り除いてあげることもありますが、基本的には自然のままにしています。脱皮をするときれいになりますからね」
つまり、あの特徴的な髪型は、飼育員が意図して作ったものではなく、飼育を続けるなかで自然と出来上がったものだったのだ。また、動画で見せた豪快な食べっぷりについても、大竹さんはこう話す。
「カイカムリは餌をハサミで引きちぎるようにして食べる習性があるんです。今回の動画では、餌を引っ張るときに踏ん張っているような姿が、特によく見えたんだと思います」
たしかに、映像では両方のハサミで餌をつかみ、全身に力を込めて引っ張っているようにも見える。その姿が、人間さながらの豪快な食事風景として受け止められたのだろう。
「実は数年前にも別の個体ですが、同じようにカイカムリがSNSで反響を呼んだことがありました。それだけ魅力のある種類ということだと思います。今回も多くの方に注目していただいて、ありがたいですね」
投稿の反響は、少しずつ実際の来館にもつながり始めているようだ。
「平日ということもあって、今のところ来館者が大幅に増えたというわけではありませんが、昨日くらいから、このカニを見に来てくださる方がちらほらいらっしゃいます。週末にはどれくらいの方に来ていただけるのか、楽しみにしています」
一方で、SNSで見たような迫力ある姿を、来館者がいつでも見られるとは限らないという。
「普段はあまり動かないので、実際に来ていただいたときに、どれだけファンサービスをしてくれるかはわかりません(笑)。動画もうまく活用しながら、展示の仕方を工夫していけたらと思っています。ゆくゆくはグッズ展開などもできたら面白いですね」
今回の大反響をきっかけに、これまであまり注目されてこなかった生き物の魅力を知ってもらえたことも、大竹さんにとってはうれしい出来事だったという。
「ウォットは、浜名湖に生息している生き物を展示している施設です。魚だけでなく、エビやカニなど、浜名湖には本当に多様な生き物がいます。今回のように、普段あまりスポットが当たらない生き物に注目していただけたのは、とてもうれしいですね」
そして最後に、こんなメッセージを寄せてくれた。
「まだまだ魅力的な生き物がたくさんいるので、ぜひ皆さんにも探してみていただきたいです」
緑のアフロヘアと豪快な食べっぷりで、一躍SNSの人気者となったカイカムリ。今度は水槽の前で、どんな姿を見せてくれるのだろうか。