■実践的な学習に取り組める点が大きな強み
AIの普及によって、知識の暗記やデータ入力などの定型的な業務は自動化が進んでいるからこそ、知識を覚えるだけでなく、それを課題解決や状況に応じた判断に生かす力が重要となります。例えば、将来店舗を営んだり起業したりする場合、商品を販売する技術だけでは事業を継続できません。収支を把握し、顧客のニーズを捉え、経営状況に応じた判断を下す力も必要です。商業高校では簿記・会計やマーケティング、企業経営、情報処理など、ビジネスに必要な知識を10代から体系的に学べ、地元企業との商品開発や模擬会社の運営など、実践的な学習に取り組める点が大きな強み。こうした経験は、企画力や課題解決力を養う機会にもなります。
ネット上でも、「商業高校で簿記、大学で外国語やると20代でも海外で就職できるよ。経験済みです」「簿記やITの基礎を高校生のうちに学べるのは大きなアドバンテージだと思う」「目的意識がないと3年間が中途半端になってしまう」といった声が聞かれ、実践的な知識への期待がある一方、その学びを将来にどうつなげるかも重要な課題と言えそう。
「商業高校の将来を考えるうえでは、資格の取得数や就職率だけでなく、卒業生が学校での経験をどう生かしているかを検証することも大事。企業と連携した授業が進学後や就職先で役立っているのか、在学中に身につけた力が職場でどう評価されているのか。こうした実績を具体的に示すことで、教育の成果を客観的に評価できます。また、企業や大学と協力し、社会で必要とされる知識や技能を授業に取り入れることも重要です。卒業生の活躍や企業との連携を通じて教育内容を磨き続けることが、商業高校の価値を高めるのではないでしょうか」(教育関係者)
進学にも就職にも生かせる実践的な学びを、変化する社会のニーズとどう結びつけていくのか。そこにこそ、これからの商業高校が新たな価値を生み出す鍵がありそうです。
戸田蒼(とだ・あおい)
トレンド現象ウォッチャー。大手出版社でエンタメ誌やwebメディアの編集長を経てフリー。雑誌&webライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。