5月17日、NHKの報道番組『クローズアップ現代』では、ジャニーズ事務所創業者のジャニー喜多川氏(享年87)による“性加害問題”を特集した「“誰も助けてくれなかった” 告白・ジャニーズと性加害問題」が放送され、大きな波紋を広げている。

 番組冒頭、進行の桑子真帆アナウンサー(35)が「なぜこの問題を報じてこなかったのか。私達の取材でもこういった声を複数いただきました」と切り出し、「海外メディアによる報道がきっかけで波紋が広がっていること、私たちは重く受け止めています」と神妙な面持ちで語った。

 取材班は独自取材をもとに、元所属タレントで被害に遭ったという男性の証言やこの問題を巡る背景を伝えたほか、まともに報じてこなかった“メディアの責任”にも触れた。

“ジャニー氏の闇”を数十年にわたって報じていた『週刊文春』(文藝春秋)とジャニーズ事務所の訴訟で、ジャニー氏によるセクハラ行為の事実が認定されたにもかかわらず、「NHKなどのメディアが大きく報じることはありませんでした」と言及。

『週刊文春』側の代理人を務めた喜田村洋一弁護士は番組の取材に「“報道すべきものは報道しています”という自負があるのであれば、それはきっちりすべきだったんじゃないですかね。それは“やっていないでしょ”ということでしかないですよね。報道機関として、言葉は悪いけれども、怠慢じゃないですかと思いました」と苦言を呈する場面もあった。

■「ある種の“共犯関係”ではないか」とメディアの姿勢を問題視

 番組終盤、芸能界・メディアについて20年わたって取材しているとジャーナリストの松谷創一郎氏は「報道がなかなかされなかったし、今回も民放も含めて、NHKもですが、かなり報道に対して抑制的なんですね。私はこのことが一番大きな問題ではないかと捉えています」とし「特に民放ですが、今も抑制的であるということは、ある種の“共犯関係”ではないかと考えています」とコメントした。

 松谷氏は「第三者委員会」の設置の必要性を提言したうえで、「メディアが役割として、『アジェンダセッティングをちゃんとする』、『議題設定をちゃんとする』ということがとても大切だと思います」とし、「民放の人たち、テレビ朝日やフジテレビなんかは特にそうですけれども、逃げないでちゃんと扱っていただきたいと思います」と、具体的な局名まで出して提言していた。