■手話ドラマが作られる制作背景を専門家が解説
テレビプロデューサーの鎮目博道氏は、手話ドラマの魅力についてこう語る。
「恋愛ドラマの場合、どれだけいろいろな障壁を乗り越えて愛を実らせるか、という部分がメインになってきます。その際、わかりやすく乗り越えるべきものがある方が盛り上がる。病がある、ケガをしているなどですね。
片方の人の耳が聴こえないという設定は、どうしてもコミュニケーションが取りにくいので、ドラマが描きやすい。さらに手話は、映像で訴えかけやすいという特徴があります。
手話は視覚にアプローチするため、印象に残ります。かつ、見た人は“意味を理解したい!”と興味を持ち、知的好奇心も刺激される。また、手話にはもともと意味がわかりやすいものも多く、“なるほどな”と納得すると、何だか得した気持ちにもなりますよね。そして、マネもしやすい。機会があれば、使ってみたいなとも思える。コミュニケーションとして、他の人にも使ってみたい、“伝えたくなる”という力があるのが、手話なんです」
しかも、手話は“ながら聴き”ができず、発信側と真剣に向き合うことになる。だからこそ引き込まれるという面も大きいという。
「そもそもテレビを見る時、人は案外何かをしながら見ていたりもしますから、目で見て印象に残るものをどれだけ盛り込むかが制作側の勝負なんです。ロケ地、小物、衣装など、すべてにこだわりがある。そうしたときに、見なければわからない手話は、パフォーマンスとしても人を惹き込むポテンシャルが高いんです」(前同)
結婚発表にあたり、手話の通訳つきで記者会見を開いた足立。2人の結婚がきっかけで、手話に興味を持つ人はあらためて増えそうだ。