■「お父さん、帰るよ」の真意

B あの会見の前に事務所側から「普通通りの会見にします。だから、皆様も明るくじゃないですけど……」という感じで繰り返しアナウンスがあったんですよね。事務所サイドとしてはあくまでも“普通に”したいという意向でした。でもこちら側としては、渡辺徹さんがお亡くなりになっているから、なかなかそんな気持ちにはなれなかったところですが……。

C たしかに難しいよね。

B でも、いざ会見が始まってみると郁恵さんは開口一番、「世の中がサッカーで盛り上がっているなか、こうやって渡辺徹のために集まってもらって家族としてすごくうれしいです。渡辺徹のことを話題にしてもらって、家族はそれを見て渡辺徹という人が偉大だと思う瞬間でした。みなさまにお集まりいただいて感謝しています」と明るいトーンで話し始めたんですよね。その瞬間に、ああ、本当にこういう感じなんだなって、一気に取材陣の緊張が解けた感じでしたね。

C いや〜、そんなことを言えるのは本当にすごいよね……。

B でも、なんでそんな明るくするのか。それは「必ず1回は泣かせるようにしても最後は明るく」というのが徹さんだったという話をされてましたね。郁恵さんからすると徹さんと一緒に会見している感じだったんですよね。だから、会見の最後に郁恵さんの口から出た言葉は「お父さん、帰るよ」だった……。

A この「お父さん、帰るよ」は心にきましたよね。何人ものレポーター、記者が涙を浮かべていました。すごい、素晴らしい会見でしたね。

 12月23日に文化放送で放送された渡辺さんの追悼番組「渡辺徹追悼番組『ありがとう、徹さん!』」には、会見に同席した長男・裕太が出演し、あらためて会見を振り返り「いやぁ、母親、さすが芸能人だなと思いましたね。いろんなエピソードトーク話していて、父親も笑っていると思いますよ」と榊原の会見を賞賛していた。

 今後も徹さんは、天国で家族を見守り続けるだろう――。