■「松下洸平」が争奪戦となるテレビ局側の“事情”

 ドラマ評論家の吉田潮氏はこう話す。

「今はドラマの視聴率が高くならない時代、バラエティなどドラマ以外の番組にも出演してもらうことで、なんとかドラマへ誘導したいという思惑がある。そのなかで松下さんは、元々高校時代は絵を描いていて、音楽の専門学校へ行くなど、とても引き出しの多い俳優さんなんです。演技以外の分野でも活躍できる。

 そして『ゴチになります!』は、旬だったり、これからよりブレイクしそうな俳優さんをよく起用するコーナーですよね。日本テレビが松下さんを『ゴチになります!』に起用したのも、“囲い込み”をしたいという戦略があったのでは」

 その『ゴチ』起用から2年ほど経ち、いよいよ争奪戦となっている松下。人気や実力があるだけでなく、“安心感”もあると吉田氏は語る。

「松下さんは古田新太さん(57)や生瀬勝久さん(62)、加藤諒さん(33)ら、実力派俳優の育成で知られる芸能プロダクションのキューブ所属。下積みもありますし、演じることの楽しみも苦労も知っている俳優さんです。下手に不祥事を起こすような心配もなく、安心感がある。しかも、どんなことでも面白がってやってくれるような器用さとフットワークの軽さも感じさせます。局側にしてみれば、“使いやすい”。オファーが増えるのも納得です」

『最高の教師』での松下の起用については、どう捉えているのか。

「そもそもドラマでは、今人気といった話題性も含め、ヒロインの相手役に登り調子の俳優を起用するケースがよくあるものです。今回は松岡さんのほか、生徒役に芦田愛菜さん(19)が出演することも話題です。どちらも人気、実力ともに申し分ないのですが、学園ものに何かもうひとつの要素を加えたいとなったとき、松下さんは”最適なスパイス”、隠し味になり得る」(前同)

 物語のメインとなるのは教師としての松岡。しかし松下を松岡の夫役に据え、夫婦としての関係性、ストーリーも見せることで、単なる学園ものに終わらせない仕掛けがあるというわけだ。

「学園ものには興味がないけれど、松下さんが出るなら見ようかな、という人もいるでしょう。役柄的にも、急に離婚を切り出すなど秘密も多そうで、惹きつけられる視聴者は多いと思います。夫役にベストの配役ではないでしょうか」(同)

 結果、松岡の夫という役どころがピッタリはまっている松下。日テレの囲い込み戦略は大成功といえそうだ。