■第3話以降に心配される「スケールダウン」感
第1話と第2話は主に架空の国家・バルカ共和国が舞台で、モンゴルロケのシーンが多かったが、第3話で物語の舞台は日本へと移る。
「バルカ共和国での撮影シーンの一部も、緑山スタジオでロケが行なわれているようです。主に屋内のシーンだとは思いますが、今後一気にスケールダウンしてしまうのではないか、という心配はありますよね」(前出の制作会社関係者)
スケールダウン懸念について、前出の吉田氏は「日曜劇場では、最初だけ勢いを見せてスケールの壮大さをうたいつつ、そのあとが尻すぼみになった作品がこれまでにもあった」と指摘。最近では、2022年1月期に放送された阿部寛主演の『DCU』だという。
「『DCU』は海上保安庁に新設された、水中での事件や事故の捜査を行なう架空のエキスパート集団“DCU”を扱ったドラマ。でもちゃんと海に潜っていたのは最初の方だけで、どんどん地上でのシーンが増え、ついには水族館や温泉、ホテルのお風呂での話に……」(前同)
第1話こそ水深120メートルという場面があった『DCU』だが、回を追うごとに舞台は”浅く”なり、視聴者からは《どんどんショボくなる》《もはやギャグ》といったツッコミが噴出。
しかし制作陣は至って真面目で、水族館は殺害現場、温泉ではガスが充満し殺人未遂事件が起こるなど、ドラマの主旨に沿った”現場”ではあった。前出の制作会社関係者は「単純に潜水シーンは莫大なお金がかかる。最初に飛ばしすぎたため、そこから削られたんです」と内情を明かす。
「確かに水中ではあるんだけど、その“尻すぼみ感”があからさま。かわいそうなぐらいでした」
と、前出の吉田氏は話す。
物語の舞台が日本になれば、砂漠などの壮大な自然の画は減り、爆破などの大掛かりなシーンも少なくなるのは当然の流れ。だからこそ、視聴者を失望させない仕掛けが必要になってくる。
「“ショボくなった”と思わせない工夫は欲しい。その点では、すでに堺さん演じる乃木が二重人格であるかのような演出もあり、今後はスケールというよりも感情の動きで物語を上手く見せていってくれるんじゃないかと期待しています。
あと、主演級のキャストがどう動いていくかも楽しみ。大勢揃え、下手をすれば風呂敷をたためずに終わってしまう可能性もゼロではないなかで、どうやってまとめていくのかが最大の見所。バルカ共和国で阿部さん演じる警視庁公安部の野崎守のバディ、ドラム(富栄ドラム)のような脇役がどれくらいいい味を出してくれるのかも、注目したいポイントです」(前同)
第3話以降は、魅力ある登場人物たちと感情を揺さぶる脚本に期待したい。