■専門家が指摘する歴史認識の“ズレ”
一連の騒動について、ウェブニュース編集者でPRプランナーでもある中川淳一郎氏は「同じ様な動きをワーナージャパンが公式ツイッター上で行えば、間違いなく大炎上したことでしょう」と指摘。
気になるのが、米国公式アカウントがあまりにも軽はずみなリプライをした背景だ。自身も米国イリノイ州で中学・高校時代を過ごした中川氏だが、その際に受けたアメリカ史の授業が印象的だったと振り返る。
「アメリカ人は日本人の原爆投下に対する捉え方、“長崎、広島は悲惨な出来事だった”との認識を持ち合わせていません。授業では、むしろ、オッペンハイマーは原爆を発明し、第二次世界大戦を早期終結へと導き日本人の死者を減らした英雄という説明を受けました」
ワーナージャパンが置かれた立場について中川氏に尋ねると、
「ワーナージャパンは可哀相な側面があると思います。アメリカ本社の意思決定に対して日本支社は基本的に関与することはできません。外資系企業において日本支社は基本的に子会社扱いだからです」と解説。
「当然、米国本国での動きが日本国内で問題視をされている旨は新聞報道にもある通りですぐに本社へと伝えたのでしょう。それが結果的に、本社の謝罪コメントにつながった」とした上で、「ただ、本国の感覚では当初は”日本で批判を浴びている”と伝えられたところで“だから、なに?”といった程度のものだったと思われます。だからこそ、ツイッター上でこのようなこちらの感覚では考えられない行動を公式アカウントがとったのではと」
とその感覚にズレがあると指摘する。
その理由を中川氏に問うと、
「アメリカ人は、自分たちにとっての正しい歴史認識に基づいて活動を行なったという感覚だからです。日本人としてはワーナージャパンが、間違っても米国本社と同じ行動を取らなくて良かった本当に思います」
海を越え人気女優にも飛び掛かりそうな火の粉。簡単になかったことにできる問題ではない。