■演出はしっかりアップデート

 脚本は1990年代に『101回目のプロポーズ』や『ひとつ屋根の下』(ともにフジテレビ系)など、大ヒット作を生んだ野島伸司氏。しかし、2000年代に入るとカリスマ的な勢いは弱まったようで、ここ10年以上はヒット作に恵まれていなかった。

「地上波の連ドラは5年ぶりの野島氏ですが、『なんうま』は、教師と生徒の恋愛や同性愛などを描いた1993年の『高校教師』や、イジメと自死、父親の復讐などを描いた翌年の『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』(ともにTBS系)のように、ドロドロぶりは変わっていません。

 その一方で、すいのオタクっぽい言動など、コミカルなシーンも入っているため、テンポが良く引っかかりなく見られます。これは、演出の大塚氏の力が大きいのかもしれません」(ドラマライター/ヤマカワ)

 本作の演出を担当する大塚恭司氏は、夫に不倫された妻の復讐方法がヤバいと話題になった、前クール放送の深夜ドラマ『夫婦が壊れるとき』(日本テレビ系、土曜日0時30分)を手掛けていた。こちらもドロドロした内容ながら、テンポのよさで視聴者を引き込み、深夜枠ながらもTVerのドラマランキング1位を獲得したことも。

「今後のドラマの本筋がラブストーリーか、ミステリーか、人間ドラマか、社会派になるのか、どうなるのか分からないのも野島作品らしいです。今期放送の各ドラマがすでに盛り上がっているなか、遅れてスタートしたため視聴率は低調ですが、90年代の野島ドラマのファンだけでなく、若い視聴者層も巻き込む“エモさ”に期待したいです」(前同)

 第2話の世帯平均視聴率は2.6%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と、今期プライム枠の連ドラで最下位になってしまった。1番の話題作、日曜劇場『VIVANT』(TBS系)が15分拡大放送で、『なんうま』の冒頭数分とかぶる不運もあったが、配信サービスで見られたのが救いだった。そのおかげもあり、ドラマ好きからの『なんうま』支持は、今後伸びていく可能性はあるだろう。