鹿児島県の南に位置し、160キロに渡って大小12の島々で構成されているトカラ列島。現在、島々の周辺で地震が頻発していることから、島民のみならず多くの人の関心の的になっている。

 取材を担当した記者が語る。

「9月8日から12日までの間に列島周辺で体に感じる揺れが計測されたのは300回以上。2023年5月だけでも震度1以上の地震が93回観測されている。地震が続いており、余談を許さない状況です」

 この状況に衝撃を受けたのか、

《トカラ列島の群発地震→巨大地震で日本滅亡の前兆か!》
《トカラ列島で地震が起きた後に日本で大きな地震が過去に起きています》

 といった声もSNS上ではあがっている。

 実際に、トカラ列島で地震が頻発すると首都圏直下型の大地震へと繋がるリスクはあるのか――。地震学者で武蔵野大学客員教授の島村英紀氏に、今回の地震に関連する形で、首都圏直下型地震など大地震へとつながるリスクがあるのかを尋ねると、

「その可能性は限りなく低い」

 との回答。なぜそうした見解にたどり着いたのか。

「伊豆半島まで伸びるフィリピン海プレートですが、今回は震源はトカラ列島付近だけに集中している。今回の地震が、仮に首都圏直下型地震の予兆である、ということであれば、関東付近でも揺れが計測されているはず。トカラ列島一帯の揺れが、他の地域で地震を引き起こすとはなりません」(前同)

 一先ずトカラ列島における地震活動活発化の影響が、ネット上であがったていた大地震の予兆と関係がないことが分かったわけである。