海外の先進国と比べ、日本の最低賃金が著しく低いことが話題だ。他国の最低賃金引き上げ率が高いことに加え、円安が進んでいることも影響している。20年前は2倍以上の差があった隣国である韓国も、2023年に入ってからは賃上げを実行。
最低賃金は9620ウォン(約1060円)へと引き上げられた。全国平均額が961円の日本より1割ほど高い金額となる。オーストラリアに至っては、21.38豪ドル(約2040円)と日本の2倍以上となっている。そんな状況を受けてか、海を越え異国の地へと出稼ぎに向かう若者が後を絶たない。
海外移住に詳しい淑徳大学・千葉千枝子教授が最新事情を明かす。
「8対2くらいの割合で欧米圏よりもアジア圏へと出向く人が多いように感じます。やはり、物価が安いという点がポイント。生活環境が近いというのもあり、働きに行くならアジア圏ということなのでしょう」
1990年代は海外移住といえば大手企業の駐在員や寿司職人、現地の警察官に武術を指導する空手の有段者が代表格だった。しかし、働き方の多様化に伴って現地でのローカル採用も近年では急増。21年に開催された東京五輪の影響も相まってか“おもてなしの心”への注目は世界で高まり、ホテルマンや飲食店店員として国外で働く人が増加しているという。
「イギリスのスターバックスで働いている方は時給が2000円と仰っていました。もちろん、欧州は物価も高いですし、アルバイトで生計が立つのかと聞かれれば否かもしれません。それでも、語学力を磨きたい、当地での暮らしを味わってみたいという気骨がある方にとっては魅力に映るそう。
また、理美容師やネイリスト、トリマーといった細かな作業が要求される仕事は、手先が器用な日本人に有利。ビザが下りにくい欧米圏でも比較的ビザの取得が容易です。
一方、海外出稼ぎ先として人気のアジア圏では現地企業や日系企業のローカル採用枠で働く人が多い印象。ただ、現地通貨でお給料が支払われますので日本円に換算すると年収100万円ちょっとなんて事もあるようです」(前同)