長きにわたる行動制限を日本国民に強いてきた新型コロナウイルス。コロナ禍での自粛生活も終わり、アフターコロナに突入。国内外への旅行が本格的に再開した。2023年の8月10日~20日のお盆期間に、成田空港から国外へと飛び立った旅客者数は前年の3.7倍となる約77万人。観光産業が回復の兆しを見せる一方で、ここにきて旅行予約サイトに関するトラブルが急増中だという。
旅行者の相談窓口となっている国民生活センターによると『インターネットで予約した旅行トラブル』の相談件数は、22年8月31日時点で1219件だったのが、23年は同時期で1510件と300件も増加している。
予約サイトは日本語で表記されているが、実は海外事業者がサイト運営をしているというケースもあり、言葉の問題や商慣習の違いから、さまざまなトラブルが生じているというのだ。
旅行アナリストの鳥海高太朗氏は、「もちろんすべてではありませんが、海外事業者の旅行予約サイトを日本人が利用する場合は、注意も必要です」と言い、その理由をこう説明する。
「日本では、旅行者の保護や安全の確保、利便性の増進などを図る目的で作られた、旅行業法という法律があります。国内の旅行会社は大小問わずこの法律の順守が徹底されている。自社サイトに新規施設の宿泊情報を掲載する場合は、電話やメールで先方に確認作業を行ない、場合によっては担当者が現地に赴くこともある。
一方、トラブルの報告が多いのは海外事業者が運営する旅行予約サイト。海外には日本の旅行業法のような法律がほとんどなく、予約サイト側の宿泊情報に関するチェックや審査も日本と比較してゆるいんです。
そのため写真と実物が全然違うなんてことも。洒脱なコテージに泊まるはずが、現地に着いたら雑草が生い茂った空き家だったとか、チェックインに不備があって時間通り入れなかったとか。酷いものだと、現地でフロントスタッフから予約が取れていない、と告げられるケースも……」