数十名の集団が白昼堂々店に押し入り、わずか数分のうちに陳列された商品を手当たり次第に盗んでは、猛ダッシュで逃走する。街中で突然始まるゲリラ的パフォーマンス「フラッシュモブ」をもじって、「フラッシュロブ(集団強盗)」と呼ばれる暴徒らの犯罪行為が、アメリカのロサンゼルスを中心に多発している――。

 町のスーパーマーケットや小売店などだけでなく、高級ブランド店やアップルストアなども標的に。8月12日にはロス近郊の高級アイテムが並ぶショッピングセンターで、4400万円相当のバッグやブランド品が盗難被害にあったかと思えば、その2日後には、同じセンター内にある百貨店で強盗騒ぎが発生。

 店に押し入った30人ほどは、入り口付近の商品を片っ端から奪って逃走している。今、アメリカでは盗難や万引きの被害が深刻化し、被害額は2022年の1年間だけで実に14兆円にも及ぶという。

「“フラッシュロブ”をこっちのニュースで初めて見た時はショッキングでした。でもどちらかといえば、ロサンゼルスやフィラデルフィアといった治安の悪い地域で起こっている暴徒たちの犯罪、というイメージ。日本でいう半グレ集団が加担しているという印象です。私が住んでいる地域では幸いまだ、フラッシュロブは発生していません」

 そう話すのはニューヨーク在住の、大手企業駐在員の日本人男性だ。

「むしろアメリカでは“万引き”のほうが深刻な社会問題として捉えられている。CNNやABCのような全米で流れるチャンネルでもニュースとして扱われていますし、ニューヨーク・タイムズのような大手新聞でも特集記事が組まれています」(前同)