■洗剤を買うにも店員への一言が必要で……

 現に、9月26日には全米で2000店舗ほどを展開する大手ディスカウントスーパー『Target』が盗難被害の頻発を理由に4州で9店舗を閉店すると発表している。背景には何があるのか。

「ここ1~2年、アメリカは物価が上昇し続けています。たとえば、日本人駐在員に人気のオーガニックスーパー『Trader Joe‘s』では、冷凍カレーが3ドル台から5ドル近くにまで価格が上昇。また、鶏肉1ポンド(約453グラム)は、2.99ドルだったのが今では3.5ドルに。

 今ではドラッグストアで洗剤を買おうにも、万引き対策で棚にカギがかかっているので店員さんに一言声を掛けないと商品が取り出せない。万引きが国全体で社会問題になるほど激増した背景には、止まらぬ物価高があるのです。フラッシュロブはその延長線上にある犯罪というイメージ。今後、自分が住んでいる地域でも起こらないかと思うと不安です」(前出の大手企業駐在員)

 治安だけは世界一良いと評される日本だが、そんな時代は過去のものになりつつある。アメリカで起こっているフラッシュロブのような集団窃盗事件が絶対に発生しないという保証はどこにもない。

「今年5月には、東京銀座の高級時計店が仮面強盗団に白昼堂々襲撃され、3億円相当の品々が強奪された。犯行現場を収めた動画がSNSに即日アップされ、全国ニュースになったのも記憶に新しいかと思います。

 9月29日には、警視庁が指示役の一人である18歳のアルバイト少年を逮捕。あらためて時計店襲撃の動画を見たのですが、アメリカのフラッシュロブを感じさせるものでしたね……」(ワイドショースタッフ)

 他にも日本中を震撼させた事件が。

「フィリピンにあるビクータン収容施設から、SNSで募った“闇バイト”で集めたメンバーにチャットアプリ・テレグラムを通じて指示を出し、凶悪な強盗事件を繰り返していたルフィグループも異様な存在でしたよね。今年1月に狛江市にある住宅へと一味の実行犯が押し入った際には、そこに住む大塩衣与さんがバールで腹や腕を殴られ殺害されています。

 電話越しにルフィらは大塩さん宅へと押し入った実行犯に、大塩さんを拘束した上で殴りつけるよう指示を出していた。2月に首謀者の男らはフィリピンから日本へと移送されお縄となった残忍な犯行です。この事件は犯人逮捕にまで至りましたが今後、SNSを通じて実行犯を雇い、海外から指示を出すというような新手の強盗が日本で再び起きないとも限らない」(前同)

 海の向こうでの犯罪、と片付けるわけにはいかない。恐るべきフラッシュロブが、日本で発生する日が近づいているのかもしれない――。