円相場の下落が止まらない。10月3日の深夜には一時、1ドル=150円台にまで下落。輸入品を中心に、物価高へと拍車をかける懸念が高まっている。この円安はいつまで続くのか――。
経済アナリストの森永卓郎氏は、「じわじわ続く」と今後の円安傾向継続を指摘する。
止まらぬ円安と物価高だが、それ以上に怖い展開が起こりうる、と森永氏は明かす。
「円安が続けば日本経済では、自動車を中心とした輸出企業の利益が増えます。すると、日本経済の景気は上向く。ただ、この円安を止めようとして日銀が金融引き締めに動くと、民間企業が銀行から借入れをしにくい状況に陥るのです。
ただでさえ、コロナ禍で企業は資金繰りに行き詰まっている。要するに中小企業の倒産が立て続けに起こるということも考えられる」
日銀が物価の安定化や景気の過熱を抑制するために、金融引き締めへと動けば金利は上昇する。その影響を受けるのはなにも企業に止まらない。生計を立てる上で欠かせない衣食住も金利の上昇に左右されるというのだ。
「日本人の7割は変動金利で住宅ローンを借りています。これも政策金利が上がれば連動する形で上昇する。返済額が増えれば当然、家計をその分逼迫します。要は、経済の停滞にもつながるわけです」(前同)
この円安に歯止めがかかるのはいつになるのか。森永氏は日銀が為替市場に介入するまで続く、と指摘する。
「現在、円安の原因となっているのは日米金利差です。ドルで預金をする方が金利は良いわけですから、円を売ってドルを買う動きが市場では活発になっている。
この円安に歯止めをかけるには、利上げをするのではなく、政府が保有する100兆円越えの外貨を売るべきです。1ドル=100円で日銀が仕入れたと考えると、保有する外貨の1/3を売れば15兆円ほどの利益が出る。その利益だけで消費税を1年間5%に引き下げることができるので、物価高対策にもなります」(同)