ミネラルウォーターの生産量が右肩上がりで伸び続けている。一般社団法人全国清涼飲料連合会によれば、2022年のミネラルウォーターの国内生産量は446万1325キロリットルと3年連続で過去最高。市場規模は02年の107万5500キロリットルから20年間で約4倍にまで成長した。販売金額も955億6400万円(02年)から3714億800万円(22年)と4倍弱に増大している。

 そうしたなか、注目を集めているのが「白湯(さゆ)」だ。つまりはお湯だが、そのお湯がじわじわと支持を広げている。

 22年2月、セブン-イレブンは東京23区内の一部店舗で「谷川岳の天然水 ホット用」(280ml、税込98円)をテスト販売。22年11月にはアサヒ飲料が「アサヒ おいしい水 天然水 白湯」(340ml、税込113円)を期間限定で発売すると、23年4月末までの累計販売本数は当初の販売計画の約3倍という好調ぶり。

 人気を受けて今年アサヒ飲料は、温かさが持続する不織布素材のラベルにリニューアルし、9月19日から「通年」での取り扱いをスタートさせている。

アサヒ飲料が展開する「アサヒ おいしい水 天然水 白湯」

 そして、今年“参戦”を表明したのがJR東日本の駅構内(エキナカ)で自販機を展開する飲料総合ブランド「acure(アキュア)」のオリジナル飲料ブランド・acure made(アキュアメイド)だ。10月24日より谷川連峰の天然水を活用した「From AQUA白湯」(280ml、税込120円)を発売する。

 なぜ、白湯が売れているのか。

 JR東日本クロスステーション ウォータービジネスカンパニー・小室氏によれば、もともと駅構内にある自販機は様々な利用客を想定し、商品ラインナップにおいても多様性を重視している。そうしたなか、白湯についても継続的に”飲みたい”という要望があったという。

「一般的に白湯というと、家でお湯を沸かして飲むものというイメージですが、これまでは外で温かいお湯を飲むという選択肢がありませんでした。

 駅ではどうしても体感温度が外気温に左右されてしまいます。これからの季節は同じミネラルウォーターでも、部屋の中では冷たいものを飲めても、外では厳しいというケースがあるでしょう。さまざまな温度展開は“エキナカ”ならではの需要があると考えています」