■背景には値上げの影響、健康志向の高まりも

 健康志向の高まりで無糖系飲料が関心を集めるなか、原材料価格の高騰などによる値上げの影響により、他の飲料に比べると安価なミネラルウォーターの売上が伸びているという背景もある。エキナカでも、今年3月~8月の売上実績は前年比142%という伸長を示したという。

出典:JR東日本クロスステーション ウォータービジネスカンパニーより

 そう考えるとこれからの季節、同じミネラルウォーターでも「ホット」という選択肢が増えたのはユーザーにとっては朗報だろう。

「駅の自販機は気分を変えたいとか、セルフモチベーションで活用される側面もあります。シャキッと気分を変えたいときは冷たいものだけど、癒やしを求めたい時は温かいものに手が伸びる。でもこってりとしたチョコレート系や糖分の多い甘い飲料という気分でもない、という時にはやはり無糖のホット飲料が人気です。

 白湯についていえば、たとえば夕方から夜の帰宅時は”疲れたので今はコク深いものよりあっさりしたものを飲みたい気分””寝る前だからカフェインのないものを飲みたい”など考える方もいるのではないでしょうか」(前出の小室氏)

 想定購買層は20代~40代の女性だが、「どんな楽しみ方をしてくださるのかは、私たちも楽しみ」だという小室氏。なお、白湯の温度については自販機が置かれている周辺環境や屋根の有無などによっても設定が異なるため「一概に言えない」が、一般的なホット飲料と同程度である約55度前後とのこと。

 健康志向や癒しを求めて、さらには価格面から日本国民の食生活の中に新たに登場した白湯という選択肢。ミネラルウォーターのようにビッグビジネスになるのかもしれない――。