■「清掃は私たちがやっている」渋谷で働く店主の告白

 この警備体制でも「十分ではない」と話すのは、渋谷センター商店街復興組合理事長でセンター街にて洋食店と中華料理店を営む鈴木達治さんだ。

「私も、店舗が入るビルの前には5年ほど前からハロウィン期間中、警備員を20時から翌朝5時まで私費を投じて立たせています」

 こうまでしなければならないのには理由がある。鈴木さんが怒気を含んだ声で明かす。

「シャッターは壊される、センター街の路上にはビール瓶の割れた破片が散りばめられるで、ハロウィンのメリットはなに一つありません。

 ハロウィン期間中は仮装しているので、参加者は気が大きくなるのでしょう。23時以降、店舗の敷地内に入り込んでの嘔吐や排泄は日常茶飯事。自分の店は自分で守るしかない。何かあっても掃除をするのは店舗を所有している我々オーナーですし……。店舗の階段を休憩所代わりに使って仮装ペイントを行なう人も跡を絶ちません」

 ハロウィンが終わった11月1日の渋谷には、自発的に清掃ボランティアが集まりゴミ拾いを行なっている。その様子をワイドショーで見た方も多かろう。それだけに、11月1日の朝を迎えたセンター街は1年で一番きれいだとも言われている。この裏側を鈴木さんが話す。

「私たちがやっているんですよ。夜中の内に準備を始めて街の人や区の職員の方々と一緒に。だから、ハロウィン翌日である11月1日の午前中にはセンター街がきれいになっているんです。街を汚すだけ汚して去っていくのはやめてもらいたい」

 最後に鈴木さんから一言。

「ハロウィンだからと渋谷を訪れようと考えている人たちには、切に思い留まってもらいたい」

 渋谷で働く人々の切なる願い。ハロウィンに取り憑かれた若者たちへと届いてほしい。