日本を代表するB級グルメである「お好み焼き」「たこ焼き」「焼きそば」――。本場大阪では“粉もん”の愛称で親しまれているこれらの商品が今、大ピンチだという。民間の信用調査会社・東京商工リサーチが10月12日に発表した内容によると、2023年上半期(4月~9月)の間に倒産した「お好み焼き・焼きそば・たこ焼き店」の数は12件。前年同期比から10件の増加となっている。
国内外で60店舗を展開するお好み焼きチェーン『千房』(ちぼう)で、営業推進部部長を務める小山佳昭さんは、お好み焼き店が置かれた苦境について次のように話す。
「19年ごろから輸入・国産ともに小麦がじわじわ値上がりをし始めました。弊社では、おもに北海道産の小麦を使用しているのですが、今は4年前よりも1.2倍ほど国産小麦の仕入れ価格が上昇している」
背景にあるのは22年2月から始まったロシアによるウクライナ侵攻だ。ロシアとウクライナはそれぞれ世界第3位と第8位の小麦生産超大国。この両国の間で戦火が勃発したことで、世界市場への小麦の提供量が減少。結果的に小麦の価格が上がり続けているのだ。
諸般の事情を受け『千房』は22年4月に値上げを敢行。ネット上で販売する『千房お好み焼き豚玉1枚入』を540円から561円へと21円値上げするなど、15品目の商品で値上げを実行した。そんな『千房』は、この度どのようにして苦境を乗り切ろうというのか。
「イカやエビといった海鮮系の具材も値上がりはしていますが、仕入れルートの変更や、大量に買い付けを行なうなどして、原価高騰分を抑制。キャベツは、専属農家さんと契約しているので安定供給が実現可能です」(前同)
それでも海を越えて起きた一大有事の影響は食い止められない。鶏の飼料となるトウモロコシもウクライナとロシアがそれぞれ世界第4位と第6位の生産量を占めるため、卵の価格が上がり続けているのだ。