■舞妓さんも「商売にならない」…古都で蔓延する迷惑行為
他にも京都の台所とも言われる錦市場ではポイ捨てが問題視されているという。
「観光客の方がふらっと行って食べ歩けるのが最大の魅力。ですが、串物のタレが他の観光客の服についたり、お店の敷地の中に入って座り込んだりと迷惑行為が絶えません。食べ歩いたゴミのポイ捨てだって日常茶飯事。
挙句、注意をした店員さんに口答えをする観光客も出たりと……錦市場で働く人も疲弊しきっていますよ」(前出の村山氏)
そんな京都では、舞妓さんに対する迷惑行為も横行しているという。
「道端で舞妓さんに声を掛けて“Take a picture”と頼む観光客もぎょうさんおります。舞妓さんが写真を撮るのはお座敷の中だけ。お座敷にも上がらず、写真だけ撮ってくれと言われても商売になりません。これではインバウンド需要も何もない」(前同)
コロナ前の2019年には年間886万人の外国人観光客が訪れていた京都市。コロナによる規制がなくなった現在、その客足は9割近く戻ってきている。そんな中で取れる「オーバーツーリズム」対策はどのようなものになるのか。
「住民と観光客が使用するバス路線の分離は必要不可欠。本当は、観光客専用路線を作って通勤・通学の人とは別のバスに乗ってもらうべき。市営バスである以上、住民が乗れないでは意味がない。
観光客専用のバス路線を作るには人手が足りないというのなら、観光客のバス乗車には賃上げもやむなしといったところでしょう。また、バスの代わりに輸送能力の高い鉄道に乗ってもらうなどの対策も必要です」
インバウンド需要という言葉に隠されているが、地元住民は観光客の増加に頭を悩まされている。
村山祥栄
1978年京都市左京区生まれ。専修大学法学部在学中に衆議院議員松沢成文氏の秘書、卒業後株式会社リクルート勤務を経て2003年京都市議選出馬、その後、5期を務める。現在は大正大学客員教授。主な著書に『京都が観光で滅びる日』(ワニブックス新書)など。