■センター街振興組合「警備に使われるのは私たちの税金」
長谷部区長は、11月1日の記者会見で「(来街自粛を)発信しなければ6万人くらい来る予想だったが、実際は1万5000人程度だった」と、発信への理解と協力に感謝。現に渋谷区によれば、昨年のピーク時に渋谷ハロウィンへと訪問した人の数は2万3000人。昨年比でも8000人の来街者減少となった。一方で、「地元住民や商売をしている人が大きな迷惑を被っている」とも発言。
10月31日は混乱を回避すべく休業や“早仕舞い”をする店が続出。西武百貨店は通常20時のところ19時閉店の短縮営業。渋谷センター商店街振興組合常務理事の鈴木大輔さんも、自身が今年6月からセンター街で経営する抹茶カフェは10月28日から31日までの4日間休業としたという。
「ハロウィン時期の渋谷は人混みが凄いとあって従業員も出勤したがらない。今年はハロウィン当日だけ休みにしようと考えたのですが、街中に立つ警察官の数を鑑みてハロウィン期間中の4日間は閉店としました。
警備増強の効果もあってか、例年に比べてハロウィンの渋谷を訪れていた人は半分ほど。数年前はビルの敷地内で朝、大便を漏らしながら寝転がっている人がいたものです。それに比べると渋谷のハロウィンも幾分マシになりました」(前出の鈴木さん)
今後、渋谷へとハロウィンのために訪れようと考えている人には「来ないでほしい」と話す鈴木さん。不満の矛先はハロウィン目的で渋谷を訪れる来街者だけに限らず、”区”にも問題があるのではと鈴木さんは指摘する。
「大きなパニックが起こらなかったという意味では、警備は成功したと言えるのかもしれません。ただ、”来ないで”といいつつ、警備に使われるのは私たちの税金ですよ。
掃除も、区はハロウィンの時期だけゴミステーションを設けて、そこに携わるスタッフを雇ったりはしてくれます。あとはゴミ拾いアピールをするYouTuberがいたりするおかげで、一年のうち渋谷の街が最も綺麗なのは11月1日の朝といっていいレベル。でも、ハロウィンが終われば皆さんしらんぷり。その他の日は、センター街のゴミ処理を区は何もしてくれませんからね」
鈴木さんは憤る。
「普段はセンター街に軒を連ねる280の店舗がお金を出し合って組合費で掃除しているんです。つまり公道を私費で1年間、365日掃除する羽目になっているんですよ」
その金額、実に年間500万円ほどに上るという。鈴木さんは、「渋谷区には3つの課題がある」と指摘する。
「自販機とゴミ箱、あと座る場所です。自販機の数は多いのに、とにかくゴミ箱がない。商店が自前でゴミ箱を設置すると、その商店とは関係ないゴミを軒先に捨てる人もいます。
また、店が営業後にシャッターの前へとゴミ袋を置こうものなら、その周辺に紙コップなんかをポイ捨てする人が、一人、また一人と現れて……。ゴミ袋の上がゴミで山積みになってしまう。路上に座り込んで飲食をする人たちの空き缶や吸い殻も酷い。区としても日常から清掃への取り組みを高めて貰いたいです」(前同)
ハロウィンで大トラブルが起きなくても――若者文化の中心・渋谷には多くの問題があるようだ。