■手探りが続いた「謎」レシピ、本場インドでは?

 しかし、いざ着手すると、味の再現という壁にぶつかった。浅子さんは、「いかに酸味や塩味を抑え、手づくりの味に近づけるかという点で苦労しました」と振り返る。

「当社オリジナルの製造ラインで酸味や塩味を抑え、まろやかな味わいを実現しました。また”リケンのノンオイル”シリーズで培った素材原料の本来の自然な風味を生かす処方技術を応用したことで、野菜のフレッシュ感を楽しんでいただける製品に仕上がっています」(前同)

 原材料にはにんじん、トマトケチャップ、赤ピーマンといった赤い野菜の他、オニオンフレークや香辛料が含まれている。完成にたどり着くまでには“本物”の味を研究するためインドカレー屋に足しげく通ったという。

「当時の開発担当者がインドカレー屋を食べ歩いて“この店のドレッシングに近づけたい”というターゲットを決め、食材をヒアリングしました。」(同)

 ところで、このドレッシングは、本場インドでは有名で日常的に使われているものなのだろうか。

「実はインドにこのドレッシングはないという噂もあり、発祥や広まった経緯などは当社も把握できていません。まさに“謎のドレッシング”です」(同)

 実際、インド在住9年目の日本語講師・下山ともこさん(仮名)は、

「日本のインド料理店で出されるサラダにかかっている、オレンジ色のドレッシングが美味しいことは知っています。ただ、インドで同じものに出会ったことはありません。そもそもインド人は生野菜を食べないんですよね。レストランなどの飲食店でも“salad”という文字を見かけることはまずありません」

 と話してくれた。

 いろんな意味で“謎のドレッシング”だからこそ、人を虜にするのかも!?