■元キー局社員が明かすアナウンサーに不可欠な要素

 これほど数多いミスコン出身者のアナウンサー。採用する側は、彼女たちの何を見ているのか。鎮目氏によれば、アナウンサーには大きく2つ“求められるもの”があるという。

「まずひとつは画面映えです。画面に映る以上、その点は多かれ少なかれ大切にはされます。さらにアナウンサーには視聴者に“知性”を感じさせる雰囲気が求められる。

 それを踏まえると、ミスコン出身者はすでに”映え”もアピール力も評価を得ているという補償があります。大学ミスコンなら知的要素も担保される。すでに人気・知名度があって頭も悪くなく、人前に出るというポテンシャルが高い。またミスコンは選抜の過程で投票があることも多く、それを勝ち抜いてきたということは、人物像としても好感度が高いという判断もできる。

 つまり、テレビ局にとってミスコン出身者は、容貌だけにとどまらない“即戦力”として手っ取り早い基準なのです」

 アナウンサーに求められるものの2つめは、「アナウンサー」としての基礎だ。こちらは「育てる余裕がない」という昨今の局の事情が大きいという。

「もちろん全員とは言いませんが、僕が面接官をしていた頃、次のステップに進む人というのは皆すでにアナウンサーとしての訓練をある程度積んでいたり、基礎ができていたりする人でした。

 時代にゆとりがあり、テレビ局にも体力があった頃は、アナウンサーデビューをさせるまでには厳しい“修業”を積ませてスポンサーの提供読みから始め、その後やっと画面に出すという感じだった。でも、今は入社させてから育てるには、時間・体力・金銭などすべての面で余裕がありません。

 そのために、今はどの局もアナウンサースクールを運営していますよね。人材育成を会社で行なうのではなく、授業料を払ってもらって養成する」(前出の鎮目氏)