■アナウンサースクールの“厳しすぎる現実”
ただし当然ながらスクールを受講し、卒業すればアナウンサーになれるわけではない。前出の鎮目氏は驚くべき実態を話す。
「採用の手間を減らしたいテレビ局としては、入社試験前のスクール受講時点で、アナウンサーの資質を図る“ランク付け”をしているのが現状です。能力が高く、容姿やキャラクターも万人受けするような人には『A』で東京キー局、そこまでいかないかなという人には『B』で大阪や愛知などの大都市地方局。どちらにも届かない人は『C』でローカル局、といった具合です。
前述の”即戦力”という点では、アイドル活動をしていた人がアナウンサーになるケースも続出しています。23年もフジテレビに元櫻坂46メンバーの原田葵さん(23)が入社していますが、彼女は法政大学とアナウンサースクールのWスクール通いをしていたことで知られています。アナウンサースクール時代に『A』評価だったのは想像に難くありません」
ちなみに、前述の田中や宇垣、フジテレビに所属する永島優美アナ(31)も学生時代にアナウンサースクールに通っていたことを明かしている。
就職は“競争”だ。同列ランクなら、「ミスコン」や「アイドル」という肩書きがあったほうが採用側の目に留まるのは自明の理でもある。ただし鎮目氏は、「今後、アナウンサーを採用する側が意識しなくてはならないのは、いかに女性の支持を得られるか」だと指摘する。
「テレビ番組はいかに女性に見てもらえるかが勝負。アナウンサーにおいても、女性に嫌われない女性アナが本当は大切なんですよね。その意味で、今後は健康的だったり、人格者だったりといったその人のキャラクターがより重視されていくのではないかと思います」(前同)
果たして再来年、画面でその姿を見せてくれるのは誰なのか――。
鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)。