■現役大学生が語る魅力「偽れない」「望まない情報が入らない」
そんな独自のアプリ『BeReal』は何が魅力的なのか。実際に使っているという大学生に話を聞いてみた。
大学4年生の木村綾さん(仮名)が『BeReal』を使い始めたのは、今年1月から。「今まさに同じ瞬間を生きてるんだなという実感がフォロワーとの間で持てる」と、その魅力を話す。
「インスタは超加工してる人だらけで何が本当かわからない部分があるけど、『BeReal』は何も偽れないところがいい。時差投稿という概念もなく、今この瞬間に撮った写真だとわかるのは楽しいですね。
リアルタイムの状況がわかるから、フォロワーが大学内で近くにいたら合流することもできる。内・外両方のカメラで撮れるのも新鮮です。例えば4人で飲みに行って、手前の2人と向かい側の2人を写す、みたいな楽しみ方をすることもあります」
現在、アメリカに留学中の大学2年生、浅井晴人さん(仮名)は、「望んでいない情報が入ってこない点がいい」という。
「インスタだと”報告”という感じで、毎日いろんな人のいろんな情報が流れてくる。ダラダラ見る分にはいいのかもしれませんが、時間が消耗してゆく感覚があります。一方『BeREAL』は自分が能動的に動かなければ何も起きず、望まない情報は入ってこない。
また、インスタは知り合いだけでなく、話をしたことがない人ともつながっている。そういう場でありのままの自分をさらけ出せるかというと、なかなかそうはいきません。その点、『BeReal』は本当に仲が良く、(アプリの)名前通り“リアル”を見せられる間柄の人たちだけでつながっている。
そのうえで、他人の投稿を見るためには自分も投稿しないといけないという交換条件的なところがあるから、フォロワー同士の関係値も対等な感じがいいと思います」
芝浦工業大学デザイン工学部教授で、若者研究の第一人者であるマーケティングアナリスト・原田曜平氏は、「不特定多数がつながっているSNSでは、ちょっとしたことで炎上にもつながってしまう」と指摘する。
「この10年間はインスタで、自分をいかに良く見せるかという加工合戦の時代でもあった。そろそろ、それに疲れた人たちも増えてきて、今はありのままの自分をさらけ出すことに価値がある時代になりつつあるのではないでしょうか」(前同)
そんな『BeREAL』は23年5月、イギリス内でのテスト運用を経て、アスリートやアーティストら有名人専用のフィード『RealPeople』を公開した。近いうちに、日本でも有名人の生々しい”リアル”な投稿を楽しめる日がくるかもしれない。
原田曜平
慶應義塾大学商学部卒業後、広告業界で各種マーケティング業務を経験し、2022年4月より芝浦工業大学・教授に就任。専門は日本や世界の若者の消費・メディア行動研究及びマーケティング全般。
2013年「さとり世代」、2014年「マイルドヤンキー」、2021年「Z世代」がユーキャン新語・流行語大賞にノミネート。「伊達マスク」という言葉の生みの親でもあり、様々な流行語を作り出している。主な著書に「寡欲都市TOKYO 若者の地方移住と新しい地方創生 (角川新書)」「Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか? (光文社新書)」など。
It’s Real. 😎#CucurellaIsChelsea pic.twitter.com/MXnsWMRLQ4
— Chelsea FC (@ChelseaFC) August 5, 2022