街中ではクリスマスソングが鳴り響き大人であっても浮足立ってしまう、クリスマスイブ。2023年はイブの12月24日が日曜日とあって、家でゆっくりクリスマスディナーを楽しむという人も多いはず。例年以上にデパ地下の人気店の前でクリスマスケーキを購入しようと、大行列ができることも予想される。中には、売れ残ったケーキを安く買おうと手ぐすねを引いている方もいるだろう。

 しかし、コンビニの前で「サンタクロースの格好をした店員が路上で声を張り上げ、必死にクリスマスケーキを販売する」姿を見かける機会は一昔前に比べると減っている。どういった理由があるのか。

 流通ジャーナリストでコンビニ評論家の渡辺広明氏は、「いわゆる“自爆営業”が問題視されるようになっている」と指摘する。

「自爆営業」とは、なにか。

「店舗の売り上げ目標のために従業員に販売ノルマを設け、達しなかったら自腹で買い取らせる行為は、一時期、自爆営業と呼ばれて話題を呼びました。

 コンビニにおいては、10年以上前から節分シーズンの恵方巻や土用の丑の日のうなぎ弁当、クリスマスケーキなど、特定のタイミングが過ぎたら大きく価値が下がる商品についてアルバイト店員にも販売ノルマが課されるケースが横行してきた。これが問題視されていたのです」(前同)

 2012年のX(旧ツイッター)上には、すでに、

《今年からうちのコンビニもクリスマスケーキにノルマが・・・・・一人5個目標・・・》
《皆一生のお願い。私のコンビニでクリスマスケーキ予約してくれ。ノルマ五個》

 など、ノルマに振り回される店員たちのつぶやきが残されているが、16年~17年頃、恵方巻を中心に“自爆営業”の被害にあった人たちからのポストが社会問題にまで発展したのだ。

「店内で出た大量の廃棄商品の写真を撮った店員がX(旧ツイッター)上に、”豆じゃなくて恵方巻で鬼撃退できそうな量の廃棄”などと投稿。大量廃棄が出ているにもかかわらず、店員にノルマ販売を課していることが問題視されたのです」(同)

 SNSで渦巻くこうした声を受け、NHKが動いた。17年1月26日放送『ニュース シブ5時』や翌2月2日放送『ニュースウォッチ9』で、過酷なノルマにコンビニ店員が苦しむ実態を報道。徐々に“自爆営業”は「アウト」――つまり労働基準法違反であることが認識され始めた。

※画像は「NHKニュース」の公式X(旧ツイッター)『@nhk_news』より