■SNSでも大注目のシュトーレンはなぜ腐らない? 専門家が解説

 シュトーレンはなぜ、腐りにくいのか。『体を悪くする やってはいけない食べ方』(青春出版社)などの著書がある管理栄養士の望月理恵子氏に話を聞いた。

「食品中に水分があるとカビや、細菌などが繁殖しやすくなる。シュトーレンを作るのに使われる砂糖には、食品の水分を抱え込む保水作用というものがあります。だから、砂糖を大量に使用したシュトーレンは保存性が高くなるというわけです」

 また、今回騒動を引き起こした『Honey×Honey xoxo』は砂糖を減らしたオーガニック食品を売りとしていた。しかし、砂糖を減らせば、健康に良いオーガニック食品が作れるわけではないとも望月氏は指摘する。

「オーガニックを売りにするお菓子屋さんの中には、精製された砂糖ではなく、黒糖やオリゴ糖を利用していますとうたうお店もありますよね。精製されていない砂糖は、一般的な砂糖よりもビタミンやミネラルが豊富なんです。

 極端に砂糖を体内に取り入れるのを避ける方がいますが、決して砂糖を減らしたからオーガニックな食品というわけではないのです」(前同)

 砂糖の含有量を減らしたがゆえに、口にした人々を危険に晒す羽目となったマフィン。その反面、腐らせない工夫を凝らしたシュトーレンがいかに手の込んだ、考えられた菓子かが判明した。約700年間存在し続けているのは、やはり理由があるのだ。

 これからのシーズン、店頭を賑わすであろうシュトーレン。オススメの食べ方を望月氏に尋ねると、

「フランスパンのように薄く切って、オリーブオイルなどを少し垂らして食べると甘塩っぱくなります」

 と、さまざまな食べ方が楽しめそうだ。

 食品で健康をうたうには、大前提として安全が必要。甘い管理で確認を怠った店舗の責任をなかったことにはできない。