■伏線を回収する手際の鮮やかさ

 第7話は、前回の紅葉の気持ちを分かったうえでの、ゆくえが抱く恋愛感と対比するような、今回の夜々の言動とその失敗。椿が家の売却することに対する反応に、それぞれの立場の違いを見せるなど、4人がみんな違う人間であることを強調していた。しかし、ラストで、4人の言う美鳥が共通の人物、つまり、違う人間同士を一瞬でひとつにまとめたのだ。その鮮やかさ。

 さらに、ラストに至る前に美容院や学習塾で“間違い探し”と”答え合わせ”という、今回のテーマに関係するワードが、小ネタのように描かれていたのも見事だった。

 また、椿が、寂しそうにする紅葉にひざカックンしといて、相手の反応を見てすぐ謝ったり、美鳥が探している相手と違うと知って落胆する紅葉に、「ごめん」と謝っといて「まったく僕のせいじゃないけど」と自己フォローするなど、重くなりそうなシーンに対する、松下の演技の評価も高い。

■「展開の軸」になっている松下洸平

 松下が絶妙なトボケ具合で、4人の空気を温かくしているのは大きい。視聴者の反響には、《心地いい関係》や《安心感》というワードが出ているが、それを作っているのは松下だ。「おむすび」「ポッケ」「でんでんむし」など、ちょっとズレた言葉を選ぶ無自覚なトボケを含め、さすが脚本が当て書きされているだけある。

 ついに美鳥が登場し、今後は4人の穏やかな関係性に歪みが生じるかもしれない。しかし、松下がいれば、また温かい空気が流れるはずだ。視聴者はそれに惹かれ、何度も見てしまう。配信の数字が好調なのも、納得なのである。(ドラマライター/ヤマカワ)