都民の台所として親しまれるアメヤ横丁を筆頭に、赤ちょうちんがぶら下がる飲食店も軒を連ね、下町の空気が今も残る東京・上野。北に向かう多くの電車が発着する大きな駅ながら、雑多な雰囲気もある街の空気感が一変したのは11月26日のことである。

 ワイドショースタッフが語る。

「上野にある貴金属店へと男3人が押し入り、バール状のものでショーケースを叩き割った強盗致傷事件が発生。警視庁は11月28日になって埼玉県内の警察署と交番に出頭した18歳の少年2人を強盗致傷容疑などで逮捕しました。

 今年5月には銀座で高級腕時計店が16歳から19歳の4人の犯人に襲われたこともあり、捜査官からは”また、未成年者による犯行か……”との声も漏れています」

 相次ぐ未成年による凶悪犯罪。そんな中、今回大きな注目を集めたのは、長さ2メートルほどの棒にU字型の金具がついている防犯用具『さすまた』だ。今回の上野の事件で店員が犯人に対峙する際に使った動画がニュース番組で放送されるや、一躍脚光を浴びたのである。

「犯人はバイクで店へと乗り付け、襲撃を試みるも、さすまたを手にした店員らによって撃退されました。この一部始終を撮影した動画が放送されたことで、防犯道具としてのさすまたにスポットライトが当たっているのです」(前同)

 動画を観た視聴者からは、

《たのもしい》
《さすまた振り回す店員さん勇敢すぎるぜ》

 など、X(旧ツイッター)上には称賛の声が続出した。

「貴金属店側の対応は、見事の一言。恰幅のよい男性がさすまたを手にし、犯人に向かって振り回す。同時に別の男性従業員が、現場へと犯人が乗り付けたバイクを2台とも倒して逃走の足を封じるなど、見事な連携プレイでした。結局、犯人は何も盗らず、バイクは放置するしかない状態のまま、ほうほうの体で逃走。27日の夜になり、店を襲撃した男性3人のうち2人が出頭。翌日の逮捕へとつながったのです」(同)

 フィリピンの地からSNS上で闇バイトを募って、高級時計店や質店を襲う広域強盗を繰り返したルフィこと、今村磨人容疑者らが逮捕されたのは2月のこと。店にとっても防犯意識が高まっているところへ起きた今回の事件。犯人撃退に活躍した「さすまた」の有効性を、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が解説してくれた。