忘年会シーズンも近づく年末。年の瀬が迫り、タクシー業界は盛況を極めているかと思いきや、どうやらそうでもないらしい。
「最近では、電動キックボードに乗って飲み会から帰る人も珍しくないですね。ただ、中には酒に酔ってかフラフラ運転をしている人の姿も……。スマホで地図を見ながら運転している人も見かけます。避けるのにも一苦労です」(現役タクシードライバー)
道路交通法の改正により、2023年7月1日から最高時速20キロ以下など一定要件を満たした電動キックボードは、『特定小型原動機付自転車』(特定小型原付)として16歳以上なら「運転免許なし」「ノーヘルメット」でも走行可能となった。さらに最高時速6キロ以下のものは『“特例”特定小型原付』として自転車同様、歩道や路側帯を走ることも可能だ。
「電動キックボードは最高速度が時速30キロと制限されたうえで、原動機付自転車、いわゆる原付と同じ扱いでした。簡単に言えば運転免許が必要で、ヘルメットを着用しなくてはならなかった。それが、事実上の規制緩和。もちろん日常使いの乗り物として選択肢が増えるのは良いことではあるのですが……」(全国紙社会部記者)
しかし、乗る際のルールや正しい使い方をきちんと把握していない利用者が巻き起こす事故やトラブルは後を絶たない。
「警察庁によれば、電動キックボード関連の全国で起きた事故件数は20年が4件、21年は29件、22年が41件だったとのこと。23年は1~10月までで85件と22年の倍以上の件数です。また、そのうち法改正後である7月~10月の4か月間で54件を占めます」(前同)
都内のタクシー運転手が、“危ない利用者”の生態を明かす。
「最近は若いお客さんだと、飲み会の後のタクシー代を節約しようとして、電動キックボードを活用するケースがあるようですね。先日乗せたお客さんが、自宅までのタクシー代はない。だから1000円分だけ走ってくれというんです。その後はどうするのかなと思っていたら、シェアリングサービスの電動キックボードで帰るという話でした。
ほかにも、夜中に(シェアリングサービスの電動キックボードが停まっている)ポートまで行ってくれという人を何人か乗せたことがあります。新しい移動手段が増えるのは良いとは思うんですが、ルールをちゃんと知っているのかは心配ですね。特に、電動キックボードでも飲酒運転にはなってしまうことには注意してほしいなと思います」
実際、明らかに飲酒状態で電動キックボードに乗っているな、という人も見るという。
「体がフラフラしていて、いかにも酔っ払いというか……。転んだりされたら怖いので、すぐに離れます」(前同)