自我を持ったコンピューターが人類を攻撃する。そんな未来を描いたのは、ジェームズ・キャメロン監督がメガホンを握った映画『ターミネーター』シリーズだ。『ターミネーター』内で描かれたのは、人類滅亡へのカウントダウンだった。
そんな映画の暗い未来とは対照的に、現在の日本国内で進むのは、AI搭載ロボットの実用化に向けた実証実験だ。人類と機械の共存へと向けた第一歩となる実験が行われているのは、愛知県にある中部国際空港である。
「2024年の1月17日から19日。その翌月の2月14日から16日にかけて中部国際空港では、米国企業が開発した四足歩行のAI搭載ロボット・Spot(スポット)による、警備業務の実証実験が行われます。
中部国際空港では、天候・気温に関係なく、利用者の安心安全のために24時間体制で警備が行われている。しかし、負担が大きい労働環境であることから、警備人材の人手不足は大きな課題となっていました」(愛知県・経済産業局担当者)
その課題を解消すべく、四足歩行のロボット犬による警備実験が行われているというわけだ。なぜ、中部国際空港が実証実験の現場に選ばれたのか。
「23年9月に愛知県では、中部国際空港周辺を近未来事業やサービスの活用を目指す“あいちデジタルアイランドプロジェクト”として位置付けました。今回、Spotを使って空港内の巡回警備の実証実験を行うのはその一環です。
日本国内でSpotの正規販売代理店を務める東北エンタープライズさんと、Spotのソフトウエア開発を行う日本IBMさんが協力して、AI搭載ロボットの警備実証実験を行い、結果次第では空港内での警備活動にSpotを導入しようとも考えています」(前同)