2024年の中学受験は、例年以上に厳しいものになりそうだ。

「第一志望に合格するのは3割ほどと言われています。だから、中学受験は落ちて当たり前なんです」

 そう語るのは『なぜ中学受験するのか?』(光文社新書)などの著書がある、教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏である。ちなみに、2022年度に東京都内の公立小学校を卒業し、私立中学へと進学した小学生の割合は19.81%。23区内で最も私立中学への進学率が高いのは文京区で、49.50%と半数近くにのぼった。

 1月下旬から首都圏を中心に戦いの火ぶたが切って落とされる中学受験。12歳児による受験戦争が過熱する裏側には、どのような事情があるのだろうか。

「新型コロナウイルスが流行ったことが背景にはあるでしょうね。20年には政府主導で全国の公立小・中・高などが一斉休校。地域によっては3か月ほど休校になった学校もありました。

 その際、いち早くリモート授業を導入したのが私立だったのです。公立の教育機関が、その役目を果たしていないことに、危機感を覚えた保護者の方も少なくない。結果的に子どもの私立進学に積極的となる親が増えたのでしょう」(前同)

 ただし、冒頭でおおた氏が述べたように、第一志望校に合格する小学生はわずか3割ほど。多くの受験生が合格発表の日に、不合格の憂き目を見ることもまた事実だ。我が子が受験に落ちたとき、保護者はどのように接するべきなのか。

 おおた氏はこう言う。

「中学受験は12歳の段階で行います。そのため、合否に一喜一憂するのは子どもというよりも親でしょう。子どもは親の反応を見て、それを自身の態度に反映させます。仮に子どもが第一志望に落ちたとしても、親が気丈に振る舞っていれば、子どもは安心するものです」