邪気払いや厄除けとして行われる豆まき。恒例行事として楽しみにしている家庭も多いだろう。2024年、如月の風物詩である節分の日にあたるのは、2月3日だ。そんな節分の日には、豆まきをしながら、家族団らんの時を過ごそうと考えているご家庭も少なくはないことだろう。

 家族で楽しい行事となるはずの豆まき。そんな古くから親しまれてきた日本の伝統行事に潜んでいるのは「窒息」のリスクだという。現に、消費者庁は例年、窒息や誤嚥の恐れがあるとして、5歳以下の子どもには、硬い煎り豆を食べさせないよう注意を呼びかけているのである。

 ナビタスクリニック立川の内科医・久住英二医師が、「特に5歳児以下が危ない」理由を解説する。

「まず、子どもはまだ歯が生え揃っておらず、噛み砕く力や飲み込む力が十分ではありません。さらに5歳以下の子どもの喉はすごく狭い。

 豆が噛み砕けなければ、喉や気管にも豆を詰まらせやすくなる。また、子どもは食べ物を口に入れた状態で動き回りがちです。当然、動いた拍子に豆を喉に詰まらせることだってある。子どもの予期せぬ行動も、窒息リスクが高まる原因です」

 乾燥した硬い煎り豆が、うっかり気道にハマった場合、取るのも大変だという。

「丸くて表面がつるつるしているので、ピンセットでつまむ時にも滑ってしまうんです。万が一の事態が起きないようにするためにも、少なくとも5歳以下の子どもには豆を食べさせないこと。ただし、節分豆で窒息するのは5歳児以下とは限りません。どの年代の方でも起こりうる事故だけに、よく噛んで豆を食べる必要があります」(前同)

 子どもが喉に豆を詰まらせたら、どの様に対処すれば良いのだろうか。

「子どもの背中を自分のお腹にくっつけた状態で子どもを抱え、胃のあたりを押す。あるいは膝の上で子どものお腹を下にして寝かせ、背中を叩いて吐き出させるといった方法があります。それで豆が吐き出せれば良いのですが、呼吸が苦しそうなど、一向に状態が良くならないのであれば救急車を呼んでください」(同)