■インフラ壊滅で思うように活動できない背景が
「能登半島は山がちで道路も少ないので、陸路から大規模な作業員を投入することはできないという地理的な要因があります。それに加え、報道にもあるように、輪島港の海底が隆起してしまったため、海路から大きな船で重機を搬入することもできない。つまり陸海どちらからも、少人数の作業員を五月雨式に投入して手作業で復旧に当たるしか、方法がないんです」
現在、自衛隊は陸海空の統合任務部隊を1万人規模で編成し、人命救助や生活支援に当たっている。だが、インフラが壊滅しているため、思うように活動できていないのだという。
「もともと能登半島にはレーダーが置かれた空自の輪島分屯基地がありますが、狭くて活動拠点にはならない。陸自は金沢と富山、海自は舞鶴、空自は小松が一番近い拠点で、統合任務部隊の指揮は兵庫県の伊丹で執っている状況です。それらの場所から、被害が深刻なエリアまでは距離があり、移動に時間がかかることが活動を難しくしている一因でしょう」
復旧作業もさることながら、喫緊の課題は避難所への物資供給だ。
「自衛隊員の誰もが生活支援への不安を口にしていました。寒波に見舞われ避難所生活が限界にきている中、水と食料が圧倒的に足りていない現状はとても深刻です。それに加えて薬も足りてなく、今は自衛隊の衛生部隊も入っていますが、追いついていないそうです」
それでも、復旧への光は見えてきている。
「防衛省がチャーターした大型フェリーを七尾港に停泊させて避難所にするなど、被災者への支援は少しずつ改善されています。しかも隊員の話では、1月末に再開した能登空港を拠点に、今後は空からの大規模な物資供給も可能になるとのことです」
一刻も早い被災地の復旧・復興が待たれる。