■『さよならマエストロ』は音楽ドラマではない?

 その一方で、《オケの成長がドラマの主軸になっていない。その意味で『リバーサルオーケストラ』や『のだめ』とは異なり、群像劇になってない。ここまではファミリー物ドラマで、オケがドラマにある意味がわからない。指揮者があんなに指揮中にブレるのか?》など、晴海フィルの描き方への不満も声もあった。

「不満を感じた視聴者には、2006年に放送された上野樹里(37)主演『のだめカンタービレ』(フジテレビ系)や、昨年放送の門脇麦(31)主演『リバーサルオーケストラ』(日本テレビ系)のような、オケの成長と、そこでの演奏シーンを期待した人が多かったのでしょう。今作での音楽のパワーを感じさせる3話までの演奏シーンを見れば、無理はありませんよね。

 ただ、公式サイトのコピーに《親子の絆と人生を再生させていく とびきりアパッシオナート(情熱的)なヒューマンドラマ!》とあり、物語のメインはあくまで家族。今後は俊平と家族をとりまく人間関係がメインに描かれるでしょう。そうなると、音楽を期待していた視聴者は、離れていってしまうでしょうね」(ドラマライター/ヤマカワ)

 とまどう視聴者はいたようだが、現在の内容が、本来の姿なのだろう。

 次回はいよいよ、俊平(西島)を拒絶し続けていた、娘・響(芦田)の過去について語られる。芦田はここまで過去に囚われ、「思春期」とイジられる子どもっぽいふるまいを見せていたが、ここからは未来に向け、自立していく大人の演技が求められる。

 ヒューマンドラマとして視聴者を惹きつけられるかどうかは、本格俳優への道を歩み始めた芦田の演技次第のようだ。