■Z世代に刺さる理由は作ってすぐに発信できること
東京・吉祥寺や神奈川県の鎌倉など8店舗でできる「指輪作り体験」は、素材・形状・デザイン・リング幅などを選び、職人のサポートを受けながら自ら指輪を製作。世界にひとつだけのオリジナルリングを小一時間ほどで作ることができ、その日のうちに持って帰ることができる。何より、最大2名で体験できるので、友人や恋人と一緒にペアリングをつくることができるのがポイントだ。そこが人気沸騰の要因なのだろう。
実際に弊サイト記者がワークショップを訪れてみると、その日の店内は若い男女のカップルばかり。中には外国人カップルや女性同士のペアもおり、工房の中には明るい声が響いている。
仲睦まじい様子を尻目に、弊サイト記者も席へと着くと、女性スタッフが指輪作りの工程を丁寧に説明してくれた。製作そのものはトータルで30~40分ほどだが、素材やデザイン選びを進めるうちにどんどん時間は過ぎていく。
指輪作りを行ううえで重要なのは素材選び。シルバー925か、ゴールドのK10(10金)、K18(18金)の3種から素材選びは始まる。その後、リング幅を決め、表面が丸みを帯びている「甲丸リング」か、表面がフラットで平らな「平打ちリング」のどちらかの形状を選択できる。最後には10種以上ある指輪の模様デザインを決めるといった流れだ。
素材やリング幅、形状、サイズによって価格は異なる。たとえば一番人気の3mm幅だと、シルバーが税込6050円(以下=すべて税込)。K10の甲丸リングだと14号までが3万2000円、15号からが3万5000円となっている。
平打ちリングの場合だとK10素材で14号までが3万4000円で、15号からが3万7000円。K18であれば甲丸の14号までが5万5000円、15号から6万1000円となっている。平打ちの14号までが6万7000円、15号から7万3000円といった具合だ。指輪の内側に入れる刻印(職人が彫ってくれる)は無料プレゼントとなっている。
これらを決定したら、実際に製作に取り掛かる。まずは指輪にバーナーで高熱を加え、加工しやすくする「なます」作業。水につけて冷やしたら、今度は電動ヤスリで指輪を綺麗にする「削る」作業。そして指輪の表面をハンマーで叩き、柄を付ける「柄付け」作業。最後に表面を磨けば指輪は完成だ。無料の刻印をお願いしていたら、スタッフに指輪を預け、刻印ができるまで5~10分ほど待つことになる。
出来上がったら、身に着けて帰ることもできるし、袋に入れて持って帰ることも可能。クリーニングやサイズ直しは無料で行ってくれる。
前出のトレンドアナリスト・太田氏はこう語る。
「Z世代にとっては体験型のコンテンツが何よりも重要。同店では体験ができ、その日のうちに作った物を持ち帰れるというスピード感も魅力の一つですね。友人や恋人と同じ体験ができ、すぐにSNSで発信できるコンテンツはまさにZ世代向き。今後も体験型のサービスを打ち出すお店は増えるのではないでしょうか」
体験と発信がセットになったサービスはZ世代注目の的。次に注目されることになる新サービスは、はたして――。
太田まき子
新潟県出身。大学卒業後、広告会社及びマーケティング会社にて女性向け商材のプロモーション、ファッションカルチャーイベントの企画運営、エンタメ系の広報などを担当。現在は、トレンドのマーケティングやリサーチを行う