「NHKがついに動いたという印象ですね」

 そう語るのはベテランスポーツ紙記者である。

「2月14日にNHKは春の番組改編を発表。平日の午後は『列島ニュース』(13:05~14:50)と『午後LIVEニュースーン』(15:10~18:00)で情報番組を生放送5時間ぶっ通し。大改編の背景には、事件や事故が起きた際に突発的に対応できるようにとのNHK上層部の考えがあるようです」(前同)

 全国に多数の支局を持ち、緻密な取材網を敷くNHKが午後の情報番組戦線に参戦するとあって業界内でも注目を集めている。

「『列島ニュース』はNHK大阪放送局、『午後LIVEニュースーン』をNHK東京放送局が制作するとのこと。NHKでは、18時から『首都圏ネットワーク』に代表されるように各地域ごとでのニュース番組を放送。19時~19時30分は『ニュース7』を放送しているので、それを含めると6時間半、情報・報道番組を生放送することになります」(同)

 その裏で戦々恐々なのは『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)や『ゴゴスマ -GO GO!Smile!-』(TBS系)を放送する民放各局だ。

「全国に多数の支局を持ち、取材力も高いNHKの参戦に民放各局がビクついているのは間違いない。特に『情報ライブ ミヤネ屋』(13:55~15:50)と『newsevery.』(15:50~19:00)をNHKの裏で放送することになる日本テレビ。それと、『ゴゴスマ -GO GO!Smile!-』(13:55~15:49)や『Nスタ』(15:49~19:00)を放送するTBSは気が気ではないのでは。この争いにNHKがどう割って入るのかは注目です」(同)

『報道ステーション』など数々の報道、情報番組でディレクターも務めてきた元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏は、「NHKが改編にあたって日テレとTBSの制作スタイルを“お手本”にしているのは間違いない」と話す。

「日テレは、『ミヤネ屋』が大阪の読売テレビ制作、続く『newsevery.』が日本テレビ制作。TBSでは『ゴゴスマ』が名古屋のCBCテレビ制作、後の『Nスタ』がTBS制作です。

 今回、NHKも大阪と東京で手分けして作ると報じられましたね。一つの局で何時間もの情報番組を制作するとなると、準備面で厳しくなります。制作を半々に分担することで、片方が放送している間にもう片方が準備できるという仕組みです。

 ただ、4月からの『列島ニュース』は、現在、大阪放送局が制作している『列島ニュース』(13:05~13:55)の拡大版。つまりNHKとしては現行の『列島ニュース』がテスト的な位置つけで、そこで得た知見を元にして今回、大阪と東京で情報番組のリレー放送をする体制をとったということでしょう」(鎮目氏)