■永野芽郁と山田裕貴は五感を分け合う?
カギは、本作が宇山氏の小説『この恋は世界でいちばん美しい雨』と同じ世界観であること。同小説では、バイク事故で瀕死の重傷を負った恋人たちが、“案内人”と名乗る喪服姿の男女から20年の余命を授かって生き返る。しかしそれは、互いの命を奪い合うことになってしまうということ。一見、残酷に思えるが、ポイントは自分の寿命を減らしても、ライフシェアリングして相手の幸せを願うことだ。
雨は当初、太陽が知ったら自分を責めてしまうからと、真実を語らずにいたが、次回、第7話の予告動画では、太陽の命を救うために五感を差し出したと明かすようなシーンが見られる。真実を知った太陽は、自分を犠牲にしても雨の幸せを願うはず。おそらく自らの五感を差し出してでも、雨を救おうとするだろう。
雨の味覚、嗅覚、触覚はすでに失われ、残っているのは視覚と聴覚。そして、雨の願いは太陽の作った花火を見ること。これらからドラマのラストを考察すると、雨に太陽の作った花火を見せるため、雨に視覚を残す代わりに太陽は視覚を失う。小説『この恋は~』では命をシェアするが、本作では五感をシェアし、2人で支え合って生きていくのではないか。
また、もう一人の“案内人”千秋(松本若菜/39)は、前回の第5話で、「奇跡は誰にでも起きるわけではないし、自分たちにも与える権限はない」と、案内人は“奇跡”を起こすことは担当外であることを明かしていた。しかし、千秋は太陽の死んだ母親である可能性が高く、最後に太陽のために無理を通してしまうことが予想される。
太陽にとって視覚を失うのは、花火職人として致命的だが、雨の幸せのためなら受け入れるだろう。毎回、視聴者を号泣させている『君が心をくれたから』だが、最後は本当に涙の雨が降りそうだ。(ドラマライター/ヤマカワ)